エコノミー症候群(深部静脈血栓症) ('07年5月28日更新)
エコノミー症候群(深部静脈血栓症)
飛行機、列車、車、劇場、映画館等で長時間同じ姿勢で座ったままでいると(特に足を動かさないでいると)、血液が流れにくくなり、膝の裏辺りの静脈に血栓(血の塊)の出来る事があります。まれに太腿の奥にある静脈に血の塊(深部静脈血栓)ができ、何かの拍子にその一部が血流に乗って肺に運ばれ、肺の血管を閉塞してしまうと肺塞栓となります。 飛行機のエコノミークラスに乗っている人によく起きていたのでその名がついたようですがビジネスクラスでもファーストクラスでも起きることで“旅行者血栓症”とも言われていますが、医学的には“深部静脈血栓症”といわれます。 骨折や帝王切開などの手術後、ベッドの上で身体を動かした時や初めてトイレに行く時など、急な血流の変化にともなって起こります。無症状のものから呼吸困難、胸痛などがありますが、閉塞が強度であればショック、心停止に至る場合もあります。またこの血栓が足から脳や心臓に移動すると、脳卒中や心臓発作を誘発する恐れもあり危険な状態になることもあります。
予防法(長時間同じ姿勢で座っている時)
1.水分補給 1時間毎にコップ半分ほどの水やイオン飲料、ジュース類を飲む。アルコールやコーヒーは利尿作用があり脱水の原因となるので飲み過ぎないようにする。(座り続けると足がむくむが、これは血液中の水分が血管の外にしみでてくるためで、水分を失った血液は濃度が高くなり、血栓が出来るのを助長する。アルコールやコーヒーを飲むと尿が出易くなるので、血中の水分の減少に拍車をかける。) 2.足の運動 1〜2時間毎に席を立って少し離れたトイレに行く。 スペースを見つけ軽く足の屈伸運動をする。 座席では、かかとの上下運動を1時間に3〜5分程度行う。 時々足を伸ばし、血行が悪くなるので足は組まないようにする。 3.その他 ゆったりとして伸縮性のある衣服を着る。 睡眠薬は使用しない。(特に飛行機に乗る時には、ぐっすり眠って足を動かさなくなる可能性が高い。) 弾性ストッキングを着用する。(足の皮膚を圧迫して深部の血流を増やすため)
追伸:深部静脈血栓ができる原因は、血管壁の損傷または病変、血液凝固性の変化、血流の滞留などに関係があるので、静脈の血栓はじっとしている時以外にも起ることがあります。
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