緑内障と白内障 ('06年10月31日更新)
(1)「緑内障」
先日「是非、定期的に眼科検診を受けたほうがいいですよ。」と知人にすすめられました。彼女は60歳で検診を受けた時、何の異常もなく眼には自信があるとそのまま6年。 最近少し自覚症状があり、診察を受けると緑内障と診断されました。
● 緑内障とは : 私たちが物を見る時、外から入ってきた光は角膜・水晶体を通り、網膜上でピントが合い、 できた像の情報が視神経に入り脳に送られます。そのうちの視神経がおもに眼圧(眼の中の圧力) によって障害をうけると視野や視力に障害をきたし、物が見えにくくなる病気です。 緑内障で失われた視力はもう回復しません。
● 急性型 : 急に激しい頭痛、目の痛み、吐き気などにおそわれる。 医者には「目も痛い」と訴える事が大切。 慢性型 : ほとんど自覚症状がなく緑内障のほとんどがこのタイプ。そのままにしておくと段々視神経がおかされ 視力がおちたり視野が狭くなる。遺伝的なものもある。
● 症状 : ゆっくり進行し自覚症状はほとんどないので、視野の異常には自分ではほとんど気がつかない。 何年も経って見え方がおかしいと気付いた時には相当進んでいる。
● 治療 : 点眼薬、内服薬があるが半数以上の患者が点眼薬の治療だけですんでいる。 緑内障のタイプによってはレーザー治療が必要。 ● 予防 : 定期検査による早期発見、治療が大切。めがねをかけている人は、めがね店ではなく眼科医で 視力・眼圧を測ってもらう事がよい。めがねをかけていない人も健康診断の一部として眼科検診を 受けるのが良い。
緑内障は日常生活では気付かないうちに進行し失われた視力は回復しません。 日本では40歳以上の30人に1人が緑内障と言われています。 できるだけ早期に発見、それ以上悪くさせないために40歳を過ぎたら1年か2年に一度、 健康診断の一部として眼科検診を受けることが最善の策でしょう。
(2)「白内障」
年齢とともに髪の毛が白くなってくるように殆どの人が白内障にかかるようです。 60歳代で70%、70歳代で90%、80歳以上になるとほぼ100%の人に白内障による視力低下が認められると言われています。
● 白内障とは : 緑内障で説明しましたように外から入ってきた光は角膜・水晶体を通り、 網膜上でピントが合うようになっています。カメラのレンズの役目をしているこの水晶体が 白く濁ってくる状態が白内障です。 糖尿病・アトピー性皮膚炎・眼に受けた外傷などが原因になることもありますが ここでは加齢による老人性白内障に限る事にします。
● 症状 : ・物がかすんで見える。 ・戸外や逆光でまぶしくて見えにくい ・暗いところで特に見えにくくなる ・視力が低下する ・痛みやかゆみなどの自覚症状はない
● 治療 : 初期の段階では薬で進行を遅らせることもあるが完全には治療はできません。 白内障が進行、視力が低下した場合、水晶体を取り除き人工のレンズ(眼内レンズ)を 入れる手術が一般に行われています。コンタクトレンズを小さくしたような形のレンズが 水晶体をとりだした後に残された膜(水晶体嚢)の中に挿入されます。 手術は30分ほどで痛みもなく日帰りで帰れる病院もあります。早期に手術をしても、 進んでからしても視力回復の結果は同じということですが、 日常生活に不便をきたしたりする場合は早めがいいでしょう。 いずれにせよ最近の手術は早く、手軽に出来るようになったということで手術が受けやすくなっています。
● 予防 : ・強い紫外線をさけサングラスで眼を保護する ・バランスの良い食事をとる
手術後、視力が回復して「世の中こんなに明るかったの?」と喜んでいる人が多いそうです。
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