2025年三日月会7月例会は、「生け花が世界の元首、王族そして私達の文化にも果たしてきたこと」というテーマで、ホテルオークラ東京の開業以来、ホテルのエントランスを飾る生け花を託されてこられました石草流生け花三代目家元 奥平清鳳様をお迎えして、ご講演をいただきました。日本の生け花の歴史と発展、そしてホテルオークラ東京のエントランスを飾ることの意義等についてのご講演に加えて、石草流の独自の花を生けるプロセスを公開する「花所望」という様式を、参加者の皆様に披露してくださいました。生け花の作法と生けられた立花の美しさを、参加されて皆様は、堪能されたのではないでしょうか。
27名の皆様にご参加いただき、ありがとうございました。
【ご講演の内容】
・石草流について
現代では、「生け花」という形は、静的に出来上がった花を見て、きれいというものでした。石草流を始めて、生けている花が生きていて、毎日変化しているということに驚いたことから石草流に魅了されました。石草流は、花を一時の楽しみではなく、蕾から満開になり、花びらが落ちて葉の季節になり、葉も落ちていくという一生の流れを全て見せていき、花がどのように変化していくのか、その時枯れたものを如何に私たちがサポートしながら見るに耐える作品として維持できるかを考察するという、他の流派にない大きな試みを行っています。
石草流は、ホテルオークラ東京から大きな舞台をいただいています。ホテル設計段階から初代家元は「意匠委員会」に参画し、「石草流生花」として「花迎え」を、ホテルオークラ東京の「おもてなしの心」のメインテーマに据えることを提案しました。従来の生け花は、壺に花を入れ飾り置くという静的な物でしたが、ロビーに六角形の池のようなものを作り、石を配し、自然界を作りました。そこで生け花を動的装置と捉え、花を生けあげていくプロセスの全てをお客様の目の前で公開し、お見せするという画期的な手法を展開しました。この手法を「現代の花所望」と名付けました。
お客様が、ロビーの「花迎え」の前で写真を撮られ、家族の記念となっています。お客様がまた記念に写真を撮りたいと思われ、「花迎え」がお客様を引き寄せるものになっています。お客様と心の繋がりが生まれてきたのです。これがホスピタリティなのではないでしょうか。ホテルオークラ東京において、花を通してお客様との心の繋がりが生まれています。
・立花の花所望(講演の途中においての「立花の花所望」の実演について)
お花を立てる時に、茶道と同じように礼を尽くして生けあげる作法を立花花所望といいます。立花の真(しん)を決め、それを支える副(そえ)と体(たい)を美しく生けることで、心の安らぎがもたされます。
花材―夏櫨(ナツハゼ)実付き1本・竜胆(リンドウ)白、紫各1本
花器―濃い色のたてはな花器(壺)
華道具―花巾・鋏・なた・小刀・霧吹き・水差し・花留め(花器に花や木を固定するためもの。稲わらを壺のサイズに合わせて丸く筒状に束ねて、適当なサイズにカットして使います。)
最初に、生ける壺を保護する為に、花巾で花器を覆います。次に夏櫨の姿全体を見て、生け花にとって重要な真をどのよう立てるかを決めます。夏櫨の姿に必要のない枝や葉を切ります。花器に合うサイズに幹を切り、立てられるように、なたを使って下の幹を削り、花器に入れた花留めに立てます。夏櫨の形が決まると、最後に竜胆2本をきれいに作っていきます。花器に水を入れ、霧吹きで葉や枝に水を与えます。最後に花巾を取り除き、台を拭き、きれいに整えて皆様にご覧いただきます。
・生け花の歴史
日本に仏教が伝来し、花は仏前への供花で宗教的な行為でした。室町時代に、侍が戦に臨む前に陣容を整え士気を高めるため、陣においてお茶を立て、野辺の花を切って生けたことが「立花」の起源と言われています。桃山、江戸時代になり「立花」が発展し、「生け花」という言葉が使われるようになりました。明治になり、現代的な要素も取り入れ、日本文化として独自の発展を続けています。
・ホテルオークラ東京の「迎え花」
ロビーにて石草流の花迎えでお客様をおもてなししていますが、ロビーだけではなく、スウェーデン国王夫妻、オバマ大統領、バイデン副大統領が宿泊された際、宿泊された場所に「迎え花」という特別な花も生けました。世界の元首、王族に生け花でおもてなしの心をお伝えしています。
出来上がった花を見るのではなく、茶道のように、出来上がっていくプロセスをお見せするのが「花所望」といいます。室町時代にもあった「花所望」を多くの方々に正しく知っていただき、「現代の花所望」の素晴らしを広めていきたいと思っています。
【最後に】
生け花には、多くの流派がありますが、「花所望」という様式を取り入れた流派を初めて知りました。三日月会で石草流の「花所望」という他の流派にない様式を見る機会に恵まれ、素晴らしい経験をさせていただきました。
花所望の立花では、花材はシンプルで、華やかなものではないのですが、生けあげられた立花は、夏櫨が、葉と実が織りなす曲線が自然美となり、白と紫の竜胆により、夏櫨に華やかさが添えられて大変美しい姿となり、感動いたしました。それに加え立花の作法も大変美しいものでした。奥平清鳳様、美しいものをご披露いただき、ありがとうございました。
【以下開催時のご案内の抜粋】
ホテルオークラ東京のエントランスそして各所に配される生け花は各国の元首や王族など国際的な来賓を迎える「第一のしつ
らえ」です。7月例会の講演を担当していただく石草流生け花 三代目家元 奥平 清鳳(おくだいら せいほう)氏から私達はホテルオークラが開業以来、迎え花としての役割を石草流に託し続けてきた意味、そして室町時代では天皇や貴族、将軍や大名の前で花をいけあげていくプロセスを全て公開して見せる「花所望」というゆかしい様式が今も引き継がれているというお話を聞くことが出来ます。昨今、国際的に日本の生け花(活け花)や盆栽、そして春の桜を代表とする季節ごとの花や草木の文化、またその観光的価値も日増しに高まっています。こういう時期だからこそ私達は日本の生け花の文化を知っておくべきではないでしょうか? 奥平氏は花を通じて日本のもてなしの心、美意識、四季感を発信し続けており、日本文化の「顔」とも言える役割を果たしています。 小説家の川端康成氏は「石草流の花ほど日本の自然の心を流露した花はないと思へる。豪壮な花もあって、それは日本の造園、日本の屏風絵、あるいは絵巻を思はせる大切さだが、そこにも日本の美のこまやかさが細心に写し取られている。」という言葉を残しています。 皆さまのご参加を心よりお待ちしています。
記
日時 : 2025年7月19日(土曜日)11時~12時30分【10時半開場】 早く来られても入場出来ません。
開催日は第3土曜、開催時間も先月に続き変更になっています。ご注意ください。
場所 : 関西学院東京丸の内キャンパス ランバスホール 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階
アクセス :JR東京駅八重洲北口改札口より徒歩2分。 東京メトロ大手町駅B7出入口は改良工事に
伴い閉鎖しておりますがサピアタワーに直結しております連絡口(旧B7出口)は利用できます。
🌙 3階サピアタワーオフィスロビー受付前に「三日月会受付」を設置致します。(10:25~11:00)
会費 : 1000円 〈小ペットボトルの飲み物を用意致します。〉
講師 : 奥平 清鳳様 「石草流 生け花」三代目 家元 「石草会」主宰
1968年3月 早稲田大学商学部卒業 (株)日産自動車入社。1971年4月 「石草流生け花(初代家元岩田青道氏)入門。1981年4月(株)野村證券本店貴賓室及びホテルオークラ館内の生け込みを岩田晴道師について修行。ホテルオークラ「レティ゛スサークル」「清鳳花の会」開講。2005年5月 池の坊 岡田幸三師に「立花、立華花所望」の指導を受け師の最後の弟子として雅名「則天」を授与。2006年3月 「日本陶芸文化協会」(堀貞一郎氏主催)協賛「花所望、花と器のコラボレーション展」開催。2008年10月 米国オバマ大統領、クリントン大統領就任祝い花及びキャロラインケネディ駐日大使、バイデン大統領の花迎え担当。 2008年~ ベルサイユ宮殿他、スペインバルセロナなど巡演。2009年9月 エルメス財団主催 「花所望展」 エルメス本店 2011年9月「UIA東京大会第24回世界建築会議」天皇皇后両陛下、石原慎太郎都知事ご臨席の開会式舞台装花担当。2012年11月 「石草流生け花三代目家元襲名披露」において立華立調(ホテルオークラ)。2022年7月 ホテルオークラ東京六十周年記念「芭蕉布展、平良敏子と喜如嘉の手仕事」(於大倉集古館)において、ホテルオークラロビー「六角」に現代の花所望 「芭蕉を立てる」を展覧披露。

