10月の三日月会は「やさしい日本語で、やさしい世界を」というタイトルで開催しました。外国人の定住者や旅行者の母語はさまざま。そこでやさしい日本語でコミュニケーションを図ろうという活動をしておられる一般社団法人やさしい日本語普及連絡会代表の吉開章氏に具体的な方法を教えていただきました。26名の皆さま、ご参加ありがとうございました。

【ご講演の概要】

ハサミの法則

 吉開氏は学生時代に男声合唱団に所属しておられ直前に新月会の演奏を聞いてくださったそうで、その話題で皆さんとの距離が近づき和やかな雰囲気でスタートしました。

 外国人の母語は様々です。コミュニケーションの難しさの一つにその言語特有の発音の特徴があります。例としてポルトガ語やタイ語、韓国語での方々の普通の日本文の読みを聞きましたが、我々には全くそれが日本語には聞こえません。この分かりにくさが差別につながることがあります。

 台湾や韓国、ベトナムなどの定住者や日本観光のリピーターのかなりの方がある程度の日本語の知識があります。やさしい日本語を使い共通語にすればお互いのコニュニケーションは容易になります。

 ではやさしい日本語とはどのようなものを言うのでしょうか。吉開氏はハサミの法則を提唱しておられます。

ハーはっきり 曖昧なことは言わない。10時15分前でなく9時45分という。

サー最後まで 言い淀みはしない。

ミー短く言う 動詞は1文に一つにする。

 このように話すためには伝えたいことの本質をとらえていないと的確に短い言葉で説明できません。その難しさを実感するために、ワークショップとしてクイズ大会をしました。参加者が3名ずつのグループに分かれ、一人が目隠しをし、他の人が短い言葉で正解の言葉のヒントを出し、答えるというゲームです。お土産、お裾分け、差し入れが例になりましたが、状況の本質がわかっていないと適切なヒントが出せません。

 これらのテクニックは外国人だけではなく、知的障害や聾唖者、高齢者の方達に対しても有効です。吉開氏はハサミの法則を「AED」のような誰でも知っている常識にしたいと言っています。

きっかけは柳川にあり

 この普及運動は郷里の柳川にお住まいの高齢のお母様が外国の方のお世話をしたいという希望を持っておられたことがきっかけになりました。柳川には台湾や韓国の旅行者が多いのですが、リピーターも多く少しは日本語で会話ができる人もたくさんいます。やさしい日本語ならもっとコミュニケーションが取れる、ということから活動がスタートしました。市でも取り組み、今はバッジを販売して利用しています。外国人は「やさしい日本語、おねがいします」を、トレーニングを受けた日本人は「やさしい日本語の、おもてなし」のバッジをつけています。

 落語、アニメ、ビデオ、クイズを駆使し、熱意のこもった内容の濃い1時間で、終了後、今日の三日月会は30分間かと思ったという参加者の感想もありました。日本語を教えている方からはすぐに英語やフランス語で説明してしまうけれど考えを変えたという意見も聞きました。日本の働き手不足を補ってくださっているのは外国人の方々です。少し日本語のわかる観光客もいます。上手にコミュニケーションをとり、日本は働きやすいいい国だと思ってもらいたいものです。

 自治体は定住者には日本人と同様のサービスを提供しなければならないところからそれぞれの取り組みをしています。

 やさしい日本語がやさしい日本の共通語になりそうですね。

【以下開催時のご案内の抜粋】

日本に住む外国人は今や約377万人。その多くは英語を母語としない人々で、日本語を学びながら暮らしています。こうした方々とより円滑に交流するためのカギが「やさしい日本語」です。10月例会の講師は、やさしい日本語普及連絡会代表理事であり、『入門・やさしい日本語―外国人と日本語で話そう―』の著者、吉開章氏です。著書では、誰もが分かりやすく情報を伝え、多様性を認め合う社会をつくるための具体的な工夫を紹介しています。講演では、外国人に頼られる存在になるための“ハサミの法則”―はっきり、最後まで、みじかく言う―を楽しいワークショップ形式で体験。60分後には、明日から実践できる話し方のコツが身につきます。地域での国際交流や災害時の支援、観光案内など、さまざまな場面で役立つ知恵を、この機会にぜひ学んでみませんか。  多くの皆様のご参加を賜りますよう、ご案内申し上げます。

 記

日時 :  2025年10月4日(土曜日)14時30分~16時【14時開場】 早く来られても入場出来ません。

          開催時間は今回も午後に変更になっています。ご注意ください。

場所 :  関西学院東京丸の内キャンパス ランバスホール 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

アクセス :JR東京駅八重洲北口改札口より徒歩2分。 東京メトロ大手町駅B7出入口は改良工事に

伴い閉鎖しておりますがサピアタワーに直結しております連絡口は利用できます。

3階サピアタワーオフィスロビー受付前に「三日月会受付」を設置致します。(13:55~14:30)

会費 :  1000円 〈小ペットボトルの飲み物を用意致します。〉

講師 : 吉開 章(よしかい あきら)氏 

1966年、福岡県柳川市出身。1985年久留米大学附設高等学校卒、同年東京大学理科一類入学。大学時代は東京大学音楽部コールアカデミーで男声合唱(ベース)に勤しむ。

1989年 東京大学工学部工学科卒、同年株式会社電通入社。長野オリンピック、ネット広告の立ち上げや海外支社のデジタル化に従事。2009年オンラインで外国人に日本語を教えた経験から日本語教育に関心を持ち2010年に日本語教育能力検定試験に合格。

2016年故郷・柳川市で「やさしい日本語ツーリズム」事業を企画・実現し、「やさしい日本語ツーリズム研究会」を立ち上げ、代表に。インバウンド対応や多文化共生を推進。

2020年、『入門・やさしい日本語』(増補版)を出版。同時に「入門・やさしい日本語」認定講師養成講座を開講し、2025年8月現在450名以上が修了。

2021年、『ろうと手話 やさしい日本語がひらく未来』(筑摩選書)出版。やさしい日本語をろう者・高齢者・外国人全体に活かすインクルーシブな社会づくりにも力を注ぐ。

2023年3月に電通を早期退社し独立、同時に一般社団法人やさしい日本語普及協会を立ち上げ、代表理事に就任。講演500回以上、メディア掲載多数

以上