11月の三日月会は、多くの有名演歌歌手の作詞家として活躍されています鈴木紀代氏をお迎えして、「歌と生きて~女性作詞家の歩み~」というタイトルで、作詞された演歌を聴きながら、普通の主婦からどのようにして有名な演歌歌手の歌の作詞を手掛けるようになったかを、進行役の質問に答えるという今までにないスタイルで、お話をしていただきました。32名のご参加、ありがとうございました。

講演中に鈴木紀代氏が作詞された演歌・長山洋子「じょんがら女節」・北島三郎「根っこ」・山内啓介「風連湖」の歌詞をプロジェクターで一部を映し、音源を流しました。演歌の詞の熱い情感を感じることができました。

【ご講演の内容】

〔普通の主婦からどのようにして作詞家への道に進んだのか〕

短大卒業後、就職、社内結婚という道を歩み、普通の主婦となっていました。作詞家になろうという気持ちは全くありませんでした。夫の海外駐在時に、日本の演歌を聞いていた経験から、帰国して、子育ての合間に演歌の詞を書き留めてみたところ、1枚の原稿用紙に書き写せたことから、これなら自分でも書けるのではないかと思いになりました。その時新聞の日本作詞教室生徒募集の記事が目に留まり、すぐに日本作詞教室に通うようになりました。生徒の多くが10代20代の若者ばかりの中、40歳からの挑戦でした。北海道夕張炭鉱が閉山するとのニュースを聞き、単身夕張炭鉱閉山式に赴き、そこで炭鉱夫の経験談をもとに1990年「夕張挽歌」という詞を書きあげました。

〔作詞教室を経てプロへ〕

作詞教室を卒業した後、子どもの通っていた小学校の創立100周年記念歌に応募したところ、採用されました。またカルピスのイメージソング公募で佳作を得て、作詞家への扉が少しずつ開いていきました。北島三郎事務所に売り込もうと考え、レコード会社ディレクターに連絡を取って、「夕張挽歌」を持って行きました、採用されなかったのですが、助言を貰うことができ、修正して「きょうの詩 あしたの詩」に投稿したところ、1990年の作詞家新人大賞を50歳で受賞することができました。プロの作詞家が始まりました。

〔一歩の挑戦が人生を変える〕

受賞をきっかけに北島三郎事務所に売り込みをした結果、演歌歌手の小金沢昇司さんを紹介され、それがビクターレコードのディレクターに繋がり、長山洋子さんの曲の作詞を依頼に至りました。最初は、苦悩しましたが、担当ディレクターへの思いから出た言葉を、男女の恋愛に置き換えてみたところ、30分で書き上げることができました。それが「捨てられて」と言う曲になり、有線大賞を受賞しました。紅白歌合戦でも歌われました。

〔作詞するための努力〕

作詞では、恋愛や失恋などの体験からの言葉は出てこないため、「努力」で詞を書いています。それには言葉を沢山知っておかなければならないので、ノートに、気になった言葉や映画で印象に残った言葉などを書き留め続け、その数は81冊になり、使った鉛筆が198本になりました。

〔作詞した曲のエピソード〕

・北島三郎「根っこ」―北島三郎さんが紅白歌合戦で歌った時、「忘れちゃならない根っこの力」という大事なフレーズで「忘れちゃならない」を忘れてしまった。北島三郎さんは紅白の思い出を話すとき、このエピソードを話されています。

・山内啓介「風連湖」―若い男の人が、恋に破れて北海道を旅している詞を書いて欲しいと依頼を受けました。男女の不倫を描いた「挽歌」という小説から風連湖を思い出し、実際に「風連湖」に行き、自分が経験した情景を詞にしました。

作詞とは、汗をかく、恥をかく、べそをかくを含めて詞をかくことだと思います。依頼受けることは、チャンスであり、チャンスをつかむことも大切な生き方であると思います。

【最後に】

1990年頃の作詞家の女性比率が1割の中、1980年代から自分の詞を売り込むという行動力で有名演歌歌手の作詞を長きにわたって続けられてこられたのは、良い作詞への信念と努力の賜物ではないかと思いました。

次の鈴木紀代作詞の演歌を楽しみにしています。ご講演ありがとうございました。

【以下開催時のご案内の抜粋】

三日月会11月の例会は現在も現役として活躍されている女性作詞家・鈴木紀代氏にご講演をしていただきます。数多くの作品の中に長山洋子さんのヒット曲、第36回日本作詩大賞で優秀作品賞を受賞した「じょんから女節」があります。 短大卒業後、三菱重工での勤務を経て結婚・海外生活を経験し、娘さんの小学校記念歌への応募をきっかけに作詞の道へ。女性作詞家がまだ少数派であった1980年代に手探りで挑戦し、多くの名曲を世に送り出してこられました。彼女の作詞家になるきっかけのひとつに夕張炭鉱の閉山式にたった一人で出かけ男性炭鉱労務者と出会った経験があります。講演では、社会で働く女性としての歩み、家庭と創作の両立、そして長年にわたり歌詞を紡ぎ続けてきたこれ迄を語っていただきます。懐かしい作品の一部も会場で紹介します。 是非多くの皆さまのご参加を賜りますよう、ご案内申し上げます。

                       記

日時 :  2025年11月1日(土曜日)11時~12時30分【10時半開場】 早く来られても入場出来ません。

          開催時間は、今回は午前です。

場所 :  関西学院東京丸の内キャンパス ランバスホール 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

アクセス :JR東京駅八重洲北口改札口より徒歩2分。 東京メトロ大手町駅B7出入口は改良工事に

伴い閉鎖しておりますがサピアタワーに直結しております連絡口(旧B7出口)は利用できます。

🌙 3階サピアタワーオフィスロビー受付前に「三日月会受付」を設置致します。(10:25~11:00)

会費 :  1000円 〈小ペットボトルの飲み物を用意致します。〉

講師 :  鈴木 紀代氏(本名 鈴木 清) 

昭和14年東京生まれ。幼少期~成長期は岡山及び神戸で育つ。青山学院女子短期大学英文科卒業。昭和37年三菱重工株式会社 船舶部に就職。結婚退職後、御主人と、英国、米国の海外生活を計6年経験。帰国後 昭和55年日本作詞家教室卒業。昭和57年LIC国際会話学院に外国人の為の日本語講師として就職。作詞家になる為の経済的自立を目指す。昭和58年~62年 作詞家松井由利夫氏に師事。       昭和59年「北のめぐり逢い」(南有二とフルセイルズ)でレコード初盤をリリース。・主な作品 長山洋子 「じょんから女節」「捨てられて」「たてがみ」「花園しぐれ」「紅い雪」「絆」等  北島 三郎 「根っこ」「一路」「生かされて」 等、 森進一 「花のブルース」「恋はぐれ」山内 恵介 「風連湖」「釧路空港」「古傷」等  橋幸夫「男ざかり」「愛ことば」「孤愁人・良寛」        その他多数 歌ネット/歌詞データに多数登録有。

・下線曲は紅白歌合戦歌唱曲 

・受賞曲については日本作詩大賞 新人賞・有線大賞・日本流行歌大賞・全日本有線放送大賞ゴールドリクエスト賞・日本音楽著作家連合ベストオブザイヤー・日本作詩大賞優秀作品賞等多数