2026年三日月会7月度例会は、日本のフォークの黎明期からニューミュージックを、音楽ビジネスの形に作り上げたレジェンド新田和長氏をお迎えして「レコーディングスタジオで出会った天才たち」というタイトルで、参加者の青春時代を彩った数多くのミュージシャンとの出会いから、その後のヒットが生まれるまでを愛情豊かに語っていただきました。47名の参加者は、懐かしい思い出とともに興味深く聞かれたことと思います。ご参加いただきありがとうございました.
【ご講演の内容】
・東芝音楽工業に入社するまで
1967~8年頃、アメリカは、コンテンポラリーポップ、イギリスは、リバープールサウンドが全盛の時代で、日本にもその影響が広がってきていました。一方、日本ではフォークソングブームの中、多くのバンドが海外の音楽をコピーしていましたが、コピーは、オリジナルの源なので、良い音楽を作りたいという熱意があった日本のバンドは、オリジナリティのある音楽を生みだし始めました。1969年のヤマハライトミュージックコンテストのフォーク部門の優勝は「赤い鳥」、準優勝は小田和正の「オフコース」でした。「赤い鳥」は、アマチュアでしたが、すでにプロに匹敵する実力を備えていました。
同じ頃に、私は早稲田大学フォークソングクラブ所属の「ザ・リガニーズ」での活動により、東芝音楽工業よりレコードデビューを果たしました。その時のレコードディレクターだったのが、高嶋弘之氏でした。卒業後は商社に就職するつもりでしたが、ビートルズのディレクターとして有名だった高嶋弘之氏からの誘いに心を動かされ、1969年東芝音楽工業に入社しました。
・高嶋弘之氏から学んだこと
当時のディレクターは、昼過ぎに出社するという自由な勤務スタイルがありましたが、高嶋氏は、9時に出社し組織人として誠実に働かれていました。高嶋氏は、音楽に対して優れた先見性を持ち、カレッジフォークのアマチュアだったザ・フォーク・クルセダーズの才能をいち早く見出し、世に送り出しました。高嶋氏の下での半年間、音楽への姿勢やプロデューサーとしての考え方を学びました。
・アーティストの発掘への思い
60年前のレコード制作は、作詞・作曲・編曲を分業するのが一般的でした。しかしフォークソングの登場によって、演奏者自身が、詞と曲を作り歌って、作品を生み出す新しい形になり、音楽を制作する人たちをアーティストと呼ぶようになりました。ザ・リガニーズがレコーディングする際に、「タレント」と呼ばれたのに対し「私たちはアーティストです」と答えところ、周囲から笑われました。この時に、東芝に入社して、アーティストと呼ばれる才能ある音楽家を発掘しようと決意しました。
東芝EMIに、赤い鳥、坂本九、加山雄三、小田和正とオフコース、チューリップなどの多くのアーティストが所属し、数々の名曲が生み出されました。
・忌野清志郎との出会い
入社当時、担当アーティストがいなかったので、アーティストを発掘するために、東芝のスタジオでオーディションを企画しました。30組以上の応募者の中に、「RCサクセション」という高校生3人組がいました。彼らが披露した「宝くじなんか買わない」は、フォークともロックとも違う新しいセンスを感じました。1969年のカレッジコンサートに出演していますが、ジャンルにとらわれない独自の音楽を追求したものでした。その後名前を本名から忌野清志郎に変え斬新な音楽を生み出していきました。
【最後に】
今回のご講演で、新田氏がお金で動かず、自分たちの好きな音楽をやりたいと思うアーティストを発掘し、その才能を見抜き、可能性を引き出す姿勢が、私たちの心に残る多くの音楽を生み出すことに繋がっていくことを実感いたしました。また参加者の皆様は、青春時代の音楽を懐かしく思いだされた方も多く、会場は終始和やかな雰囲気に包まれました。貴重なお話を聞かせいただき、ありがとうございました。
【以下開催時の案内の抜粋】
7月度例会は2月度例会で講師ご体調不良のため休会となり延期させていただいておりました音楽プロデューサーの新田和長氏をお迎えして、改めて2月度の「レコーディングスタジオで出会った天才たち」の演題で、フォークの黎明期からニューミュージック、ロックという時代の中で音楽ビジネスの形に作り上げたレジェンドに講演していただきます。当日は皆さんにとって懐かしい曲を聴きながら、また、自分達の青春と重なる日々を思い出しながら、新田氏が多くのミュージシャンとの出会いからその後のヒットが生まれるまでを愛情豊かに語っていただきます。 ビートルズのプロデューサー、ジョージマーティンが亡くなるまでの42年間のご縁、忌野清志郎、赤い鳥(武庫之荘発バンド)、チューリップ、かまやつひろし、吉田拓郎、等との数々の名曲誕生の裏側、アーティストとの出会い、そして時代と共に変化してきた音楽シーンのリアルを語っていただきます。内容は面白く、心が温かくなり人に話してしまいたくなる逸話ばかりです。
新田氏は「言葉は一人で作れるものではなく、時代と場がつくるというのが僕の持論だ」と語りかけます。
今回は音楽に興味をお持ちの2世代でご一緒に参加していただきたい講演です。
皆様のご参加をお待ちしております。
記
日時 : 2026年7月11日(土曜日)11時~12時半【10時半開場】 早く来られても入場出来ません。
場所 : 関西学院東京丸の内キャンパス ランバスホール 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階
アクセス :JR東京駅八重洲北口改札口より徒歩2分。 東京メトロ大手町駅B7出入口は改良工事に
伴い閉鎖しておりますがサピアタワーに直結しております連絡口は利用できます。
3階サピアタワーオフィスロビー受付前に「三日月会受付」を設置致します。(10:30~11:00)
会費 : 1000円 〈小ペットボトルの飲み物を用意致します。〉
講師 : 新田和長氏 音楽プロデューサー、1945年横浜生まれ、早稲田大学フォークソング・クラブ所属「ザ・リガニーズ」のリーダー。ビートルズの初代ディレクター高嶋弘之に憧れ、レコードデビューしてほどなくして東芝音楽工業(その後の東芝EMIに入社。新レーベル「エキスプレス」を託され、日本のフォーク、ロックをビジネスとして成功させたA&R(アーティスト アンド レパートリー)のレジェンド。レコードプロデューサーとして多くの才能に出会い、多くのヒット曲を世に送り出した。 東芝EMI第二制作部長時代の1984年、30名の仲間と共に独立しファンハウスを創業。2001年ドリーミュージックを創業。2024年9月に初めての著作「アーティスト伝説」(新潮社)を発刊、2025年11月3日、音楽業界の本屋大賞と言われ始めている日本一のロック本を決める第1回「ブックンロール大賞」を受賞
講演当日はこの本を持参いただき、ご紹介をしていただきます。
4月29日NHKBSで新田氏の活動が「ニューミュージック創世記 真実のライナーノーツ」で放映されました。
以上

