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健康生き生き

vol.13
婦人の検診

奥さんの健康にも愛のこもった配慮を

 戦後の昭和二十四年から、四月十日が婦人の日、この日からの1週間が「婦人週間」と呼ばれることになった。昭和21年のこの日に戦後第一回の総選挙があり、この時に婦人にも選挙権が認められ、男女同権としての婦人の政治的地位が獲得された。

 男女同権といわれながらも、今日でもなお女子は就職や昇進などにハンディキャップがつけられたままであるというのが本当のところであろう。

 日本では、戦前はもちろん、戦後も男子は外に出て仕事をする。主婦は、家事.子育てに忙しい毎日を過ごした。そのほか、一家の健康管理の役も務めてきたのである。そして、食べるものは、主人や子供に栄養のあるものを優先的に与え、主婦はお残りを食べるということが、戦前戦後にはよくみられた。

 昭和二十九年ごろから、日本の急速な経済成長とともに、働く男子の人間ドック入りや、企業での健診が、主として男子を中心にされた。はっきりした症状がなくても、念のために全身のチェックをして、病気を早期発見することが急速に日本に普及したが、私が扱った受診者の性別を調べると、昭和四十一年には男子五人に対し女子が一人の割合であった。しかし、人間ドックが始められた当初に比べると、今では女子の受診率がかなりふえている。それでも女子は男子の半分以下にすぎない。

 今では女子でも就職する者がふえ、パートをする人も含めると女子の就業率がかなり高まったが、それでも主婦は家族の健康管理の役を引き受けている。しかも、自分自身の健康のチェックを受ける機会は非常に少ないのである。

 主婦が家族の健康管理をするには、自分の健康管理が何よりも大切であり、そのためには自分でチェックできる体重測定、血圧測定などをすることと、定期的に健診を受けるべきである。

 女子は三十五歳ころから乳ガンや子宮ガンになりやすく、胃ガンや肺ガン、大腸ガンにも気をつけなければならない。

 女子では、月経の止まる更年期になるまでは狭心症や心筋梗塞になることはまずないが、高血圧にはなる人がいる。とくに妊娠中毒症をやった人は高血圧になりやすい。心臓神経症となると、中年の女子にはよくみられる。これは内科の専門医がみればすぐ診断できる。また、女子は若い人でも中年の方でも貧血症にかかる人がかなりあり、その中には子宮筋腫が原因であるケースが多く、子宮摘出の手術が必要となる人もある。

 このような婦人の病気やガンは、定期的に健診を受ければ早期に発見され、早めの治療で乳ガン、子宮ガンなどはもちろん、貧血などはすっかり治ることが多い。主婦が受診することは、自分自身の自覚でなされるべきであるが、ご主人が毎年奥さんの誕生日には受診できるように、代休でもとって奥さんサービスをされることが、何よりの誕生日のお祝いとなるのではないか。

 奥さんがご主人や子供の健康を案じるだけでなく、ご主人が奥さんや子供の健康にもっと関心を持ち、愛のこもった配慮をされることが望まれる。

聖路加国際病院理事長(関西学院旧制中学部卒)
日野原重明著「いのちの器」より



 

 

 





 
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