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健康生き生き

vol.7
花粉症と黄砂
大井 玄


 
スギ花粉症の方々は今年はどうでしたか。毎年春になると、花粉症の人たちがマスクをして憂うつな顔をしている。私のように花粉症が増えるまえに育ち、アトピー性皮膚炎も花粉症にも縁なく育った人間には、ただ「お気の毒です」と申し上げるより手がありません。
 今から半世紀前、第二次世界大戦終了直後には、アトピー性皮膚炎、子どもの喘息性気管支炎、花粉症などのアレルギー性疾患は決して多い病気ではありませんでした。
 日本の産業興隆期には、四日市喘息のように大気中の粉じんなど公害に関連して子どもの喘息が増えたのではないかと疑われた時代があります。しかし現在、少なくとも北米、ヨーロッパ、日本などの先進国では、大気中の粉じんや硫黄酸化物の濃度は厳しい規制により低いレベルまで減少しています。
 ところが、このような大気の質の改善にもかかわらず、それらの国々で、ここ数十年間、児童の喘息様症状が増加してきており、ところによっては児童の10数パーセントが症状を起しています。その原因は何か。いろいろ説明は考えられますが、かっての公害時代に悪さをした粉じんなどではないことだけは確実です。
 逆の意味で興味ある観察が、スギ花粉症についてされています。昨年、スギ花粉の飛散量は例年と変わりませんでした。ところが花粉症状がずっと軽かったのです。そうするとスギ花粉へのアレルギー発現には、花粉以外の何かが加わっている可能性が生じます。ここで登場したのが黄砂です。
 黄砂はご存知のとおり、中国内奥のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠から飛来する砂で、ひどい時には関東平野でも黄色い霞がかかったようになります。もちろん中国や韓国では大きな問題になっており、韓国では、たとえば国民の四割が「黄砂関連の病気」に罹っているなどとも報告されています。
 さて、この黄砂の降る量が、日本では昨年は少なかったのです。黄砂は花粉症を起す原因でもあるのか。
 国立環境研究所や大学の研究者がこれに興味を抱き、アレルギーを起す抗原である家ダニと黄砂を一緒にしたものと、ダニ単独のものとを、それぞれマウスに投与しました。その結果黄砂とダニを一緒にした場合、ダニ単独の場合よりもマウスのアレルギー性喘息を何倍も悪化させるということがわかりました。
 現在、地球上の砂漠は、草地での過剰放牧や森林破壊のため、どんどん拡大しつつあります。ヨーロッパ、北米などにはサハラ砂漠由来の黄砂が飛散しています。子どもたちに見られる喘息様症状の増加は、全地球上の砂漠化を反映している可能性もあるのです。



 

 

 





 
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