銀座オフィスの閉室に伴い、4月から三日月会は東京・丸の内キャンパスでの開催となりました。今回は、銀座アイグラッドクリニック院長・乾雅人先生に「老化は治る」という画期的なテーマでご講演いただきました。
老化は病気であり、治療の対象になりうるという最先端の医学的知見に、44名の参加者の皆さんは大いに関心を寄せていました。
【ご講演の概要】
1.老化は病気
私たちはこれまで、老化とは生理現象であり、避けがたいものだと考えてきました。ところが今、老化は病気の一種であり、治療可能な対象であるという認識が広がりつつあります。
病気であるならば、当然ながら治療薬の研究・開発が進むことになります。現在、世界中で老化治療薬の開発と検証が進行しており、乾先生のクリニックもその最前線にある医療機関のひとつです。
2.老化と加齢の違い
早期老化症と呼ばれる疾患群があります。不妊治療などの際にも説明をうける、ダウン症候群(23番染色体異常)もその一つです。講演では、別の早期老化症であるウェルナー症候群を取り扱いました。遺伝子異常によって“老化が加速した”ことを、実際の写真で確認しました。加速する老化があるなら、減速する老化もあり得ると考えるのは自然です。加齢とは異なり、老化とは、加速したり減速したり、究極的には巻き戻すことが可能なものという世界観が広がりました。
3.老化を構成する12項目
老化は、もはや正体不明な現象ではありません。2023年には、老化を構成する12項目を図表で示した論文も発表されました。その著者は、2013年には、老化を構成する9つの特徴を記述しており、この10年間で一層、老化の正体が判明してきたことが分かります。
この2013年というのは、人類史において大きな意味を持つ年です。世界中の研究者たちがロンドン王立協会に集まり「老化は病であり、治療対象とするべきものである」と結論付けられたといわれています。実際、世界初の老化時計であるホーバス・クロックも、この時期に提唱されています。
この様な世界的潮流のなかで、2019年にはWHOが国際疾病分類(ICD)で「XT9T= aging related」というコードを制定しました。もはや老化とは、人類が克服すべき病気の一種として位置づけられているのです。
4.老化治療薬としてのメトホルミン
具体的に、老化を治す薬とはどのようなものがあるのでしょうか。その一つが、メトホルミンと考えられています。古くは中世の時期から用いられているフレンチ・ライラックという花の成分を抽出したものです。過去60年以上に渡って、糖尿病の治療薬として世界中で使用されてきました。現在米国では、このメトホルミンによって老化が治ることを証明すべく、TAME trial(Targeting Aging with MEtformin)という臨床試験が実施されています。
5.老化を治す生活習慣
老化の進行を遅らせる方法は、意外にも昔から言われてきた生活習慣の中にあります。例えば、「腹八分目の食事」「ストレスをためないこと」「社会との接点をもつこと」などです。老化を構成する12項目のうち、12番目は「腸内細菌叢の乱れ」でした。「マゴニハヤサシイ」などの和食という食文化にも、根拠があるものだったのです。
最新の科学的知見が導き出した答えが、実は“古くて新しい知恵”と重なっているのです。
老化を遅らせるというのは実はそんなに難しいものではないということがわかりました。日常生活を見直し老化の減速を心がけたいものです。
【以下開催時のご案内の抜粋】
皆さまは「年齢だから老化は仕方がない」とあきらめていませんか? 近年、老化の原因が科学的に解明されつつあり「老化は治せる時代」へと変わりつつあります。 銀座オフィスの閉鎖に伴う丸の内キャンパスランバスホールでの記念すべき4月度の三日月会例会は老化が学術的に治ることが既定路線と説く銀座アイグラッドクリニック乾雅人院長に講演をしていただきます。 2019年、世界保健機関(WHO)は国際疾病分類(ICD-11)に「XT9T=aging related」という新たなサブコードを追加しました。これは老化が単なる自然現象ではなく、対処できるものとして概念的に認識され始めたことを意味します。科学の進化によって、老化はどのように起こるのか、そのメカニズムが明らかになりつつあります。細胞の劣化、遺伝子の変化、炎症の慢性化など老化には12の主要な要素で説明が可能とする説が唱えられそれぞれに対してアプローチできる時代が到来しているのです。
「老化が治る」とは単に若返ることを意味するのではありません。それは私達の生き方そのものを変える可能性を秘めています。 講演では、最新の研究成果をわかりやすく紐解きながら、老化克服の可能性とそれが私達の未来にもたらす影響についてお話をしていただきます。老いることは避けられないのか? その答えを皆さんと一緒に探っていきましょう。
是非多くの皆様のご参加を賜りますよう、ご案内申し上げます。
記
日時 : 2025年4月5日(土曜日)14時30分~15時45分【14時開場】 早く来られても入場出来ません。
場所 : 関西学院東京丸の内キャンパスランバスホール 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階
今回は丸の内キャンパスでの開催でございます。 銀座オフィスは3月末をもって閉室となります。
アクセス :JR東京駅八重洲北口改札口より徒歩2分。 東京メトロ大手町駅B7出入口は改良工事に伴い閉鎖しておりますがサピアタワーに直結しております連絡口は利用できます。
3階サピアタワーオフィスロビー受付前に「三日月会受付」を設置致します。(13:45~14:30)
会費 : 1000円 〈小ペットボトルの飲み物を用意致します。〉
講師 : 乾雅人銀座アイグラッドクリニック院長 静岡県出身 老化治療の専門家 外科専門医 抗加齢医学専門医
医療一家の次男として生誕。脳外科医である父に憧れ、兄と共に東大医学部に進学、胸部外科を専攻。2020年、薬液の検証機関としての銀座アイグラッドクリニックを開業。美容やアンチエイジング領域で経済活動を行う傍ら、新規性のある薬液を用いた世界初の臨床研究を実施。 老化治療薬や老化治療習慣の普及によって、国民の健康寿命の延伸はもとより、医療費削減による現役世代の手取り増額を志向している。