NHK大河ドラマの「真田丸」はいよいよ最終章に向かっています。別の番組でも最新の資料による真田丸の場所の検証風景が放映されていました。三日月会11月度例会は、同窓の歴史学者・作家渡邊大門氏に真田丸の主人公、「真田信繁の生涯」について語っていたきました。50名の皆さまが興味をもってご参加くださいました。ありがとうございました。

【講演の概要】

 史実とドラマの違いはどこにあるのでしょうか。ドラマや映画、小説ではまるで実際にあったことのように過去の時代の出来事が語られます。その根拠となるのが過去の資料です。本人たちの自筆の手紙や家譜、日記などは1次資料、2次資料は軍記物などの編纂ものです。読んで面白いのはフィクションを交えた2次資料で、多くの場合ドラマや小説はこれらに基づくことが多いのです。そこへさらに創作が加わるので、史実からはどんどん遠くなっていきます。渡邊先生はフィクションの部分をはがして史実としての信繁や関ヶ原について説明してくださいました。 

 まず主人公の通称、真田幸村ですが、幸村は誤りで信繁が正しいそうです。自筆の手紙ではすべて信繁になっています。幼少のころに上杉や豊臣の人質になっていたと言われていますが記録上ははっきりしていません。

 関ヶ原で昌幸と信繁は西軍に信之は東軍につき、信之のとりなしで2名は死罪をまぬがれたいうことになっていますが、死罪になったのは石田三成など3名だけ、本来死罪をうけるほどのことではなかったとのことです。九度山での暮らしは困窮し、昌幸は真之の援助を受け、赦免と故郷への帰還を願うばかり。そんな暮らしのなかで打倒徳川の気持ちをもち続けたとは思えません。それは信繁も同じでした。真田紐についても否定されています。秀頼の要請による九度山脱出の際、大阪城まで抜け穴を使ったという俗説もありますが、当時の土木技術を思えばありえないことです。

 方広寺鐘銘事件について家康は、「国家安康」「君臣豊楽」を五山の僧に評価をさせておりよくないとはいえ呪いはないとの解釈でしたが、家康は執念深い性格だったそうです。徳川と豊臣の間で奔走したのは片桐且元ですが、イエズス会の資料では家康と且元の結託が記されています。 

 冬の陣で真田丸は大いに活躍します。前田と伊達の軍の先陣争いという軍令違反のせいで東軍は苦戦しました。和睦後に空堀は埋められました。ただ通説とは違い、合意の上でのことでした。真田丸も破却され、大阪城の防御ラインはなくなりました。

 堀は埋めても秀頼が一大名になる、人質をだすなどの和睦の条件がのめなかったことや、冬の陣で活躍した牢人たちの行き場がなかったことから夏の陣に突入していきます。しかし籠城はできず大和郡山、堺、岸和田、八尾、若江などが戦場になり、信繁は家康を追い詰めながら討たれます。この状況についても諸説あり、生き残り薩摩に行ったという説まであります。 

 大阪の人は穴をみれば真田の穴と思うなどユーモアを交えながら史実の見極め方を教えてくださいました。来年の大河の井伊直虎についての著作もあります。フィクションが入るとたしかにおもしろくなりますが、一方、史実はどうかという視点も持ちたいものです。

【今回のご案内】

   2016年の大河ドラマ「真田丸」の主人公は、真田信繁です。これまで真田信繁は「幸村」と称されていましたが、近年その誤りが正され、信繁の名が定着しています。真田一族については、父・昌幸が徳川家康を苦しめたことで有名ですが、子息の信繁については不明な点が多いといえます。信繁に関する史料は実に乏しく、動向がわかるのは関ヶ原合戦以降になります。この講座では、真田一族の来歴を追いつつ、関ヶ原合戦、大坂の陣における真田一族や信繁の謎を解き明かします。多数の皆様のご出席を賜わりますようご案内申し上げます。

日  時 :20161116日(水曜日)12151330

場  所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール

千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

  サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(11:3012:10)を設置。

会  費 :1,500円(軽食は11:45から講演前にお出しいたします。)

講  師 :渡邊大門(わたなべ だいもん)氏 /(株)歴史と文化の研究所代表取締役

1967年横浜市生まれ。1975年から兵庫県三木市で過ごし、1986年兵庫県立三木高校卒業。1990年関西学院大学文学部史学専攻卒業(加地宏江ゼミ)。2008年佛教大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。

現在 歴史学者・(株)歴史と文化の研究所代表取締役。

主要著書:『真田幸村と真田丸の真実 家康が恐れた名将』光文社新書、『真田幸村と真田丸 大坂の陣の虚像と実像』河出ブックス、『おんな領主 井伊直虎』中経の文庫、『進化する戦国史』洋泉社ほか多数。

タイトル:『真田信繁の生涯』

*申し込み方法:お申し込みは締切りました。

同窓会東京支部のkg_tokyou_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無いようご了承ください。

*申込締切は、1110()(締切厳守)です。人数に制限がございますのでお早めにお申し込みください。尚、出席される方のみお返事を頂きますようお願い申し上げます。

*お問合わせ先:東京支部  TEL 03-5224-6226  FAX 03-5224-6227

【次回予告】 12月度例会は1214日(水曜日)

  講師:黒嵜 隆氏(フロンティア法律事務所代表弁護士・相続診断士)

          事務所:永田町砂防会館オフィス・二子玉川オフィス

            Legal Services(個人のお客様):交通事故、相続・遺産分割、離婚・男女関係、債務問題、障がい者・高齢者の法律問題等

  タイトル:仮題『身近な法律相談』を予定しています。            
以上