2月度例会は、筑波大学教授中井直正氏をお迎えし、「太陽系外惑星の探査」と題してお話を伺いました。今回は宇宙の謎に迫るということで、71名の「元天文好き少年・少女」の方々に参加していただきました。有難うございました。中井先生の一言一句に目を輝かせる様子が印象的でした。

 「太陽系外惑星の探査」について、4項目に分けて説明していただきました。 

(1) 太陽系の惑星

 太陽系にはご存知、8個の惑星があります。太陽と地球の間の距離1憶5000kmを1天文単位とすると、水星と太陽の距離は0.4、以下金星0.7、火星1.5、木星5、土星10、天王星19、海王星30となります。また惑星には、岩石でできている「地球型惑星」、ガスでできている「木星型惑星」、水または氷でできている「海王星型惑星」があります。水星、金星、火星は「地球型惑星で、土星は岩石の上に分厚いガスの層があるので、木星の仲間です。天王星は「海王星型惑星」になります。大きさでいうと、木星が圧倒的に大きく、同じくガス型の土星が続きます。地球は4番目です。重さでいうと、地球を1とすると、木星が318と一番重く、次が土星の96です。これらから、太陽の近くには岩石でできた小さい惑星があり、遠いところに超大型のガスの惑星があって、さらに遠くに、大きい氷の惑星があることがわかります。 

(2) 惑星の形成過程 

 太陽系は約46億年前にできたとされています。星間ガスが自己重力で収縮し、回転を始め、重力と遠心力が合わさって合力となります。さらに中心部の密度が濃くなってガス・ダスト円盤となり、星が誕生します。さて、惑星はどのようにして形成されるのでしょうか。ガス・ダスト円盤内で、固体であるダストが沈殿して微惑星となり、それらが衝突合体して原始惑星である固体惑星が形成されます。 さらにガスが降り積もってガス惑星もできます。私たちの太陽も約45億年前に誕生しましたが、約78億年後には消滅します。太陽は現在核融合を行い水素4個からヘリウム1個を作っていますが、徐々に中心にヘリウムがたまって重くなり、圧力が高くなって膨張して赤色巨星となります。地上の水は蒸発し、生命は死滅、アルマゲドンが起こるのです。さらにヘリウムが増え続けるとより高温になって燃え始め、炭素や酸素になり、太陽は最後には白色矮星となって消滅し、惑星も運命を共にします。 

(3) 系外惑星の発見

 古来より人類は宇宙に夢を抱いて来ました。その中でも一番大きい夢が「他の星に惑星は存在するか?」というものでした。惑星が存在するということは生命の存在も期待できます。さらには人間のような知的な生命体も?

 銀河系の中の星の数は1000憶個以上とされていますが、直接の映像は困難でした。初めて系外惑星が発見されたのは1995年、スイスのミシェル・マイヨールによるペガスス座51番星です。系外惑星の見つけ方にはドップラー法とトランジット法があります。2008年にはハワイ、マウナケア山でコロナグラフにより系外惑星の直接検出に成功しています。2009年には系外惑星探査専用のケプラー衛星が打ち上げられました。生命の可能性のある系外惑星も次々に発見されています。ハビタブルゾーン(生命居住可能性領域)の条件を満たす惑星が2011年フランスとNASAで、2017年フランスで、また2014年アメリカでは大気中に水蒸気のある系外惑星が発見されています。 

(4)発見に必要だったこと 

 系外惑星の発見にはまず技術の進歩が挙げられます。ドップラー法やトランジット法がありますが、どちらも使用した望遠鏡の口径が1.51.9mという中小口径の望遠鏡でした。中小望遠鏡による観察はそれほど競争が激しくなく、比較的自由に使えるので失敗も許されるという気楽さがありました。巨大望遠鏡による大発見は意外と少ないものです。官僚的であったり、大企業であったりすると、なかなか自由な発想は生まれないものなのですね。1993年から95年にかけてカナダとアメリカのグループがドップラー法により探査をしましたが、観測精度はあったものの発見を逃しています。調べる時間範囲が違っていて気がつかなかったり、惑星の公転周期は数十日から数年に亘るという先入観があって、4日という短い周期の惑星を見逃していたのです。

 講演後、数人から質問がありました。その中の「天文学は役に立ちますか」という質問に対して中井先生はこのように答えられました。人間は衣食住が足りているだけでは生きていけません。知りたいという欲求が文化を生み、芸術を生んだのです。宇宙のことを研究することは、知りたいという知的好奇心を満たしてくれるのです。また、壮大な天文観測のために必要な高性能な観測機器の技術開発が、他の分野の技術進歩発展にも貢献しています。

 今、先生が研究なさっている「南極10M級 テラヘルツ望遠鏡設置計画」は天文学の新たな地平を切り開く壮大なプロジェクトです。先生は今年4月から母校に戻られて理工学部で教鞭を取られます。 

 同窓生としてこの望遠鏡設置が実現するように精一杯応援していきたいですね。

【以下ご案内文】

 三日月会2018年2月度例会は、昨年7月2日()に開催されました「K.G.Tokyoフェスタ」に於いてKG東京アウォード大賞を受賞されました筑波大学中井直正教授をお招きし、下記内容にてご講演いただく事になりました。

遠方宇宙は観測が非常に難しく、これまでの光の観測からは理論的に予想されている銀河の13割しか見つかっていません。しかし、テラヘルツ望遠鏡とそのなかで最も重要な観測装置である広視野超伝導電波カメラが開発できれば、残りの7割以上の行方不明となっている暗黒銀河を観測し、銀河の謎が解き明かせると期待されています。構想から30年以上となる2024年の南極観測を目指した壮大なプロジェクトをスタートさせ、広視野超伝導電波カメラの開発を目指し、日々ご活躍されている中井先生に近年他の星のまわりに発見されている惑星の話を分かり易くご講演して頂き、宇宙と銀河の謎に迫りたいと存じます。

是非とも多数の皆様のご出席を賜わりますようご案内申し上げます。

                              記

日  時 :2018228日(水曜日)12151330

場  所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール

            千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

      サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(11:3012:10)を設置。

会  費 :1,500円(軽食は11:30から講演前にお出しいたします。)

講  師 :中井 直正(なかい なおまさ)氏:筑波大学数理物質系・教授

1954年富山県生まれ。1980年関西学院大学理学部物理学科卒業。名古屋大学大学院、東京大学大学院を修了。東京大学助手、国立天文台教授、野辺山宇宙電波観測所長を経て現在は筑波大学教授。電波で宇宙を観測し、銀河、銀河系、ブラックホールなどの観測を行ってきた。現在、地上最高の天文観測環境にある南極内陸部の高原地帯に高精度電波望遠鏡を建設して、宇宙初期における銀河の誕生を観測する計画を推進している。銀河の中心にある巨大質量ブラックホールの発見により1996年に仁科記念賞、2008年に日本学士院賞を受賞。本年4月に母校関西学院大学理工学部に教員として戻る予定。

講演題目 :「太陽系外惑星の探査」

*お申し込みは、2018222日(木)に締切りました。有難うございました。

尚、同窓会東京支部のkg_tokyo_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無い用ようにお願い申し上げます。

【次回予告】三日月会3月度例会は328日にDPI日本会議事務局長 佐藤聡氏をお招きして開催する予定でございます。

                                                                                                   以上