E-News & Songs       2018年2月22日 例会報告           

取り上げた英文記事のトピックは、最近、注目を浴びている仮想通貨の問題である。

日本で本分野の‘みなし業者’という位置づけのコインチェック社が460億円相当の通貨をネット上で何者かに盗まれたという騒動、今後の防止対策を講じるべく  金融庁が業者登録の徹底化をはじめ、法規制(昨年4月に施行された’ 改正資金決済法 ’)の強化を慌てて打ち出しているとの記事である。

我々は、記事を音読・討議するだけでは、記事の内容・実態の理解が不十分なままに終わりそうであると考え、予め各位が事前準備をして、仮想通貨なるものの定義、仕組み、歴史、今回の事件のグローバルな位置づけの観点、背景、用語につき、曖昧になりがちな日本語表現だけではなく、英語表現からの把握に努め、勉強会に臨んだ。

本報告書では、日本国内での事件を取り上げた記事の内容把握というよりも、仮想通貨そのものの理解をグローバルな視野で深める為に、用語を中心として我々が学んだ情報を簡潔に報告したい。

 

音読教材の記事タイトル:

“Japanese cryptocurrency exchange Coincheck to reimbursecustomers who lost money inmassivetheft,” and “ Coincheck says it will take stepsagainst money laundering.”

 

・仮想通貨の定義:英語では、Cryptocurrency 即ち、暗号通貨(encrypt暗号化された通貨)であり、‘仮想‘は実態とは違い、適訳ではないように思われる。

・代表的な国内外の仮想通貨:英国で2010年ごろに生まれたBitcoin が最初で最大であるが、今やグローバルには1,000以上の通貨があり、時価総額は100兆円(一年前の40倍に急増)にもなっていると言われる。

・取引所の定義: 仮想通貨を扱う会社(英語表現exchange)を、日本では「取引所」と呼んでいるが、実態は、投資家の側面があり、法律上は、交換業者。日本では、登録の16社があり、その他に、コインチェック社などの「みなし業者」が15社ある。

・強みと言える仕組み:ネット上の取引であるが、ブロックチェーンblock-chain(分散型認証)と呼ばれる技術が使われていること。これはデータ改ざんを事実上不可能にする基幹技術、安全性確保の点で、他の国際取引上の応用にも有効かも知れない技術とも言われる。

・通貨としての特徴:国際間の取引で銀行を通す法定通貨と違い、分散ネットワークの中で、利用者が商品代金などを直接送金ができるので、利便性が高いと言われるが、ネット上の取引であり、どこの国の銀行介在もなく、現時点では、やはり、匿名性 (anonymity)あり、また、世界的なルールが無いことによる投機性 (speculation) ・危険性 (risk) は避けられないように思われる。また、安全性 (security)に欠けることについての典型的な表現には、vulnerability (脆弱性)、volatility (価値・相場の乱高下が起こり易いこと)、mouthwatering targets of cybercriminals (サイバー犯罪の恰好の標的となり易いこと)、 means for money laundering (資金洗浄 の恰好の手段となり得ること) などがある等々、通常の法定通貨と違うことには留意すべきである。英国の中央銀行であるイングランド銀行総裁が数日前に「ビットコインは通貨として(機能や位置づけに懐疑的な見方を示し)失敗であった」と発言しており、また、日本国内では、ごく最近、業者が自主規制団体を設立するという動きがあるものの、何よりグローバルに繋がる、信用のある通貨としての広がりが肝心で、少なくとも、国内だけでは論外、国際的なルールを整備し、強化しない限りは、気掛かりは残ると思わざるを得ない。

とは言え、印象に残る、参考の英文記事は、Despite all this, analysts say these new currencies are here to stay.「このように色々な懸念はあるが、これらの通貨は既に普及し定着している」また、Cryptocurrencies havebeen down numerous times, but are always able to get off the canvas.「これらの通貨は、これまでも何度も落ち込んできたが、常に(ボクシング由来の表現)立ち直ることが出来る」と、我々サークル会員には、興味の湧く英文表現で締め括っている。このような締め括り記事を読むと、ひょっとしたら、長期的には、しっかりとした地位を確保する通貨になるかも知れない?と思うものである。

 

以上、マネーロンダリング(資金洗浄)の具体的な例も英語表現で確認し合ったことも含め、トピックについて、グローバルな視点から、色々と考える良い機会になったと思われ、実に有意義な時間であった。

南井克之