川柳サロン7月例会 お題「消える」+雑詠1句

7月10日(火)貸会議室プラザ八重洲北口  出席8名

津田先生◎or〇  会員よりの得点数 +数字

◎+4   老兵は消えるどころか更に増え(達夫)「消える」になっていないが、動詞なら「消えない」も許される。

◎+4 断捨離が母の思い出連れて行く(睦夫)「断捨離」を擬人化しての「連れて行く」が良い。

〇+5 少しずつ敬語が消えて深い仲(敬三)「深い仲」なら「敬語」ではなく「丁寧語」? 本人は師匠と弟子の関係のことを詠んだ→少しずつ敬語が消える仲になり

〇+3 流行語大賞取るも死語となり(達夫)大賞ほどその時の特異な言葉が選ばれている。

〇+3 愛用のモンブランより消せるペン(睦夫)「愛用」と大げさに言う方が川柳らしい。

〇+1 近づけばぴたりと止まる話し声(勝弘)「消える」お題に少し遠いが許容範囲。

〇+0 痕跡を探して記憶呼び戻す(淑子)具体性が欲しい。本人は中途半端に書いたメモの内容が思い出せないことを詠った。

「今月の学習」

1.少子化の地図から消えたあの校舎(勝次)「あの校舎」の「あの」は無理がある。代名詞は難しい。→少子化が地図から母校までも消し

2.役所マジック消えて現る公文書(純逸)「公文書」とあるので「役所」は要らない。マジックのたとえは面白い。→マジックのように出てくる公文書

3.消し忘れ鍵もオッケー出掛けよう(睦夫)これでは「消し忘れ」もオッケーになってしまう。→消灯も(又は、ガス栓も)鍵もオッケー出掛けよう

4.顔のシミさっとひと塗り知らん顔(淑子)「知らん顔」は知ってる相手が有ってのこと。→ひと塗りでそしらぬ顔の顔のシミ

5.同窓会目配せをしてそっと消え(純逸)類句が多い句。

6.子の虐待消えぬ悲劇の身勝手さ(勝次)内容は良く分かるがここまで言うことは無い。もう少し愛情が感じられる句にすること。語順も良くない。

7.無礼講上司はいつかドロンする(敬三)→無礼講上司いずれはドロンする(あとは若いもんに任せる。ここでお金を置いてゆくかどうかが評価の分かれ道)

8.去る者は追わず周りに誰もいず(勝弘)→去る者は追わず誰もいなくなり

9.突き出しが消えて割り勘安く済み(敬三)→突き出しを消して割り勘安く済み、、、チェーン店では今では突き出しは消えている

10.消したいが消えぬ思いに身を焦がす(恵子) 先生の句「胸の中消しても消えぬ人が住む」

11.消せぬ歴史と一本松が語ってる(勝次)語順が悪い、誰が語っているのか?→歴史を消さぬ一本松のモニュメント

12.もりかけも七十五日遠く過ぎ(勝弘)「人のうわさも七十五日」なのに、「もりかけ問題」はいつまでたっても収まらない。いい加減にしろという句。

13.健康でもまずは病院雲隠れ(純逸)「健康」だから「雲隠れ」するので「健康でも」は要らない。背景を出す。→不祥事へまず病院に雲隠れ

14.うちの妻いつの間にやらノラになり(淑子)通常「うちの妻」の「うち」は要らない。「ノラ」はイプセンの「人形の家」のノラのこと。→いつの間にうちの妻までノラになり

「津田先生の例句」
1.六三三四と個性が消えていく

2.バブル崩壊社内報から彩が消え

「雑詠」

津田先生◎or〇

◎+3 蹴鞠から続く伝統パス回し(睦夫)

〇+2 綺麗けど何故か悲しい千枚田(達夫)「けど」は良くない。「だが」あるいは「でも」

〇+1 迫り来る老いにつぶった目を開く(淑子)→迫り来る老いに向かって目を開く、、、本人の意図は今までわざと避けていたが、これではいけないと目を開いたということ。

添削

又来年と墓をピカピカ盆帰省(勝次)→「ピカピカ」は句の雰囲気に合っていない。→盆帰省又来年と墓磨き

W杯が熱中症を後押しし(純逸)→「し止め」は避けること。W杯の熱中と熱中症を掛けている。→熱中症の後押しをするW杯

駄洒落ならなんぼでも出る老いた脳(敬三)→ギャグならばなんぼでも出る老いた脳

人間のデータ地球を量れない(恵子)句意が分かりづらい。 人間の歴史は地球の歴史から見れば取るに足らないぐらいのものということ。異常気象といってもたかだか100年くらいのデータからのもの。

次回  お題「高い」

8月14日(火)15時から17時。場所は「貸会議室プラザ八重洲北口」です。

川柳に興味をお持ちの方

指導は著名な津田暹(すすむ)先生。雑誌「川柳研究」元編集長及び発行人。

現在世話役小山内惠子(s45)、石田達夫(s45)。男6名、女性2名。

kg-tokyo.co内の「KG川柳サロン」をご覧ください。毎月の成果が出ています。