十二月十日 「 ぎりぎり 」 参加12名 投句2名

秀句 お節つめエプロンはずす除夜の鐘 勝次  球際に強い選手が生き残る 淳

互選点+津田先生◎、○

 11点+◎ お節つめエプロンはずす除夜の鐘    勝次

 5点+○ 追試受け単位揃える四年生       敬三

 4点+○ 太陽にぎりぎり迫りちりになり     好孝

 2点+◎ 球際に強い選手が生き残る       淳

 3点+○ ぎりぎりの値引きと言って益残す    順姫

3.5点+○ 飛び乗った終電逆に走り出す      大輔、睦夫(同一句)

 2点+○ 陥落を千秋楽でやっと止め       睦夫 

 3点   サスペンスいまわの際の長セリフ    勝弘

 1点+○ カップ際ボールが止まる今日のツキ   大輔

   +○ 点呼前ちゃっかり座る常習者      惠子

  +○ ぎりぎりで下山を決める山のプロ    淳

  +○ ギリギリと友の歯ぎしり辛い旅     のぞみ

  +○ 期限切れ間際の菓子を無理に食べ    澄子

今月の学習 津田先生添削

1 その昔すんでのところでストーカー   勝弘

(昔も好きな人の後を追いかけることはあったが、犯罪という暗いイメージはなかった。今だったらヤバかったという感じが出ていて結構だが、典型的な中8。「…すんでのとこで…」でよい)

2 年度末一つ未達で隅に居る       大輔

(年度末は三月期が多かったが最近は十二月期も増えてきた。何れにせよギリギリになって一つだけ目標未達の業務があり胸を張れないで小さくなっているのであろう。「一つ未達で」の「で」がやや説明っぽいので「未達一つへ」では)

3 ギリギリと友の歯ぎしり辛い旅     のぞみ

(鼾同様辛さは分かるが、「歯ぎしり」で「ギリギリ」は表している。「歯ぎしりの激しい友と辛い旅」などに)

4 点呼前ちゃっかり座る常習者      惠子

(点呼を始めるのは開始時間になってから。その直前ギリギリに着く常習者がよくいる。そんな光景が浮かんできてこのままで結構だが、上7だが「点呼直前」としてもよい)

5 朝抜きでぎりぎり会社保健室      康弘

(状況は分かるが「ぎりぎり会社保健室」が詰まり過ぎている。学校でもありうるので会社と限らず「朝抜きで間に合ったけど保健室」などでは)

6 太陽にぎりぎり迫りちりになり     好孝

(直接アイソン彗星と詠んではいないが分かる。タイムリーでこのままで結構だが「太陽に近づきすぎて塵になり」でも)

7 陥落を千秋楽でやっと止め       睦夫

(大関の場合、昨年十一月場所の琴照菊、今年の五月場所の琴欧州がそうだった。「やっと」に皮肉が効いている)

8 宿題の徹夜でセーフ始業式       勝次

(ぎりぎりの情況はよく分かるが、下5へのつながりがスッキリしない。「宿題へ徹夜までした始業式」などでは)

9 始業ベル鳴ると同時に滑り込み     澄子

(まさにギリギリだがその通りといった感じ。ベルは鳴るものなので「鳴る」は省ける。 ベルを擬人化して「滑り込み待っててくれた始業ベル」などにすると川柳らしくなる。

10 ぎりぎりの値引きと言って益残す    順姫

(赤字大売出しでも利益は残るので、ぎりぎりなら尚更。下5は「残す益」が合う。「言って」がやや説明的なので「ぎりぎりの値引きですよに儲けられ」などでも)

11 追試受け単位揃える四年生       敬三

(経験があり共感して結構だが、「受け」「揃える」といった動詞がややくどい。「卒業の単位追試でやっと足し」などでも)

12 ぎりぎりで下山を決める山のプロ    淳

(ベテランのリーダーの判断が遭難を防ぐ。そんな状況が伝わってきて結構だが「山」の重なりがやや気になる。「限界へリーダー下山すると決め」などいろいろに詠める。)

13 帰宅して言葉の皮肉やっと知り     淑子

(「言葉の皮肉」が分かりにくい。落語の考え落ちのように直ぐに気の付かなかった皮肉か。何がギリギリなのかもわかりにくい)

14 カップ際ボールが止まる今日のツキ   大輔

(まさにギリギリで結構だが、「ツキ」はどちらかと言えば運の良い方に取られる。「…今日の運」でも)

15 臨終に胸算用の親不孝         勝弘

(遺産相続の額でも頭に閃いたか。まさに親不孝だが、現実にあるのか。まさか経験談では。「臨終」のぎりぎりもやや苦しい。

16 お節つめエプロンはずす除夜の鐘    勝次

 (正月を迎えるのにぎりぎりまで準備にかかった主婦の苦労が伝わってきて、このままで結構。上7にはなるが「お節詰め終えエプロンはずす除夜の鐘」でも。

17 ギリギリにぐうぐう答え平和な夜    惠子

(歯軋りと鼾同士で互いに熟睡、まさに平和で結構。出だしのギリギリが時間の方か迷うので逆の方がいい。「答え」も「返す」にして「ぐうぐうへギリギリ返す平和な夜)

18 飛び乗れば車内放送咎められ      敬三

(経験があり共感するが中7の「車内放送に」の「に」の省略が苦しい。「飛び乗りを咎める車内アナウンス」では客観なので「飛び乗りを直ぐ放送に咎められ」では)

19 球際に強い選手が生き残る       淳

 野球でもサッカーでも言えることだが、野球では何といってもイチロー。日ハムの外野陣もそう。阪神では? 「ぎりぎり」で「球際」を結び付けたのが良い。

20 飲み屋の娘枡にぎりぎり客集め     睦夫

(私の行く店もそうで拍手する。よく分かりるが上句がくどい感じ。「枡酒の盛り口コミで客集め」ぐらいでは)

21 崖っぷちギリギリ歩くスリルかな    のぞみ

(気持ちはよく分かるが、下5の「かな」が川柳らしくない。「ギリギリのスリル味わう崖っぷち」では)

22 ぎりぎりに追い詰められて尻尾出す   順姫

(確かにそうだが具体性が欲しい。また「追い詰める」でぎりぎり感は伝わる。誰かさんを想像して「裏金を追い詰められて出す尻尾」

23 うっちゃりでカド番逃れ生き延びる   澄子

 実際の取り組みは観ていないが「うっちゃり」が面白い。中七と下五の意味がやや重なった感じがする)

24 九裏でスクイズ決めて勝ち拾う     康弘

 情景は分かるが「九裏」は苦しい。「九回の裏スクイズでやっと勝ち」としたいが、「十二回裏スクイズでやっと決め」のほうがぎりぎり感がある。

25 締め切りにパソコン打つ手追い付かれ   淑子

 共感する内容で結構だが、追い付かれてしまうとぎりぎり感が薄れるので、「パソコンを打つ手に締め切りが迫る」では)

26 ぎりぎりの言い訳効かぬ猪瀬さん    好孝

 都知事の苦境は伝わるが、「ぎりぎり」という言い方がスッキリしない。「猪瀬さん」と直接言うよりは「弁解にもう後がない五千万」では。

27 コップ酒こぼさず注ぐテクニック    敬三

(確かにそうだが説明調。テクニックを言外に感じさせて「こぼれたと思うまで注ぐコップ酒」では)

28 期限切れ間際の菓子を無理に食べ    澄子

(句意は結構だが、間際だと明日などでもよくなるので、「期限切れ今日のお菓子を無理に食べ」または「今日期限切れるお菓子を無理に食べ」でも)

29 飛び乗った終電逆に走り出す      大輔

 (今回、全く同じ句があるが、私も以前ほとんど同じような句を作ったことがある。それだけ同想が生まれやすいのかもしれないが、「終電」としたところが哀れを誘って結構)

30 サスペンスいまわの際の長セリフ    勝弘

 サスペンスには何も喋らない死体がよく出てくるが、逆に死ぬ前に誰かに状況を詳し く話すケースもあるのかもしれない。具体的には知らないが…。

31 ぎりぎりで前後を見ずにゴールイン   順姫

 適齢期を過ぎ高望みせずに結婚へ、ということであろうが、「アラフォーの外聞捨てたゴールイン」「アラフォーの理想を捨てたゴールイン」などに)

32 レッスンにギリギリセーフ間に合った  のぞみ

(ただ間に合ったということでレッスンが活きていない。「レッスンの効果ぎりぎりジ ムに着き」などでは)

33 義理がたい僕のつむじはぎりふたつ   好孝

(「ぎり」が二つで「ぎりぎり」だが課題に対して遊びになる。下5の「ぎりふたつ」とは?)

34 ぎりぎりで乗った電車は逆に行き    淳

 他の類想句に比べて、「ぎりぎり」は「飛び乗る」のほうが具体的。また、「電車」 は「終電」のほうが面白い。

35 レジの前一円に泣き品戻す       惠子

 98円の品を買ったら97円しか持っていなかったように取れるので、「一円が足りず一品戻すレジ」と「一品」を入れるとよい)

36 飛び乗った終電逆に走り出す      睦夫

(29と同じコメント)

37 福袋ぎりぎりゲット腕が伸び      勝次

 情況は浮かぶが575がバラバラした感じ。中7を替えて「福袋残る一つへ腕が伸び」では)

38 古希の身で駆け込み乗車倍返し     康弘

(車内で息が切れてしんどかったことを倍返しとしたのであろうか。必ずしもすっこりしないが「駆け込み乗車古希には辛い倍返し」では

1.本日津田先生は所用のため欠席、採点、添削をいただいたものを小山内さんが進  行、無事終了しました

2.本日、石田達夫さん(S45年法卒)が初参加され選句もしていただきました。

3.終了後パパミラノで忘年会を開催しました

4.来年は1月14日 題は「プラス」です  では良いお年をお迎えください