【ご講演の概要】

   1月の三日月会例会は二期会会員のテナー歌手の下村雅人さんをお迎えして「オペラとミュージカルの違い」をテーマにお話しいただきました。下村さんは国立音大から二期会オペラ研修所を経て二期会の会員になり順調にキャリアを積んでこられ、いまはオペラや数々の演奏会、サロンコンサートでご活躍です。支部の音楽好きの、35名の皆さんがお集まりくださり、特に女性の参加者が多い例会になりました。声の出したかたでは実践を交えてのわかりやすい説明をしていただき、軽妙なトークと相まって笑い声の絶えない和やかな雰囲気の中で、音楽の真髄を語っていただきました、ああそうだったのかという発見が多々あり新春にふさわしい例会でした。 

オペラ、オペレッタ、ミュージカルの違い

 オペラは17世紀はじめに宮廷音楽として生まれました。もともとギリシャ悲劇を題材とし、言語はイタリア語で内容は悲劇と決められていました。オペラは主人公の出会いがあり、恋をして、最後にはだれかが亡くなるというパターンで進行します。時間も長く内容も重いので、19世紀後半くらいからもうすこし大衆向けに簡単なものというこでできたのがオペレッタです。これは小さいオペラという意味でセリフがあり、笑いもあり、日本語では喜歌劇といわれています。内容も軽く時間も2時間か2時間半くらいです。これの影響をうけてアメリカで誕生したのがミュージカルです。ボードビルやバーレスクの要素がはいり、俳優による歌唱やオーケストラの比重が高いのですが、決定的な違いはダンスがはいることです。英語はイタリア語に比べ音が前に飛びにくく、低めの音域が多いのでマイクが使用されます。

母音の違い

 イタリア語の母音は口を大きくあけますが、日本語の母音はあまり口を開けません。日本人の歌手があまり日本語の歌が得意でないのは、日本語の母音のアイウエオがイタリア語の母音のアエイオウに比べ、のどを開ける歌唱にのりにくところにあります。母音がつながらないのです。ところが外国人の歌手は日本語の歌を上手に歌います。彼らは歌詞をローマ字表記で歌っているてからかもしれません。日本人歌手も日本の歌をうたうとオペラのようになります。一般的に日本人は最後が子音で終われなくてどうしても最後は母音で押してしまいます。 

発声の基本

 男声も女声も声域の違いは声帯できまります。声帯は体格できまります。声帯の短い人は訓練で声帯を引っ張って高い音域がでますが、声帯の長い人は低い音域はうたえません。

 いい声をだすためには体幹をきたえること。丹田に力をいれ横隔膜を広げてのどを開けて歌うといい声がでます。腹式呼吸は肋骨にある肋間筋を広げて呼吸をする方法です。太っている人は重心が下にあるので声がでやすいです。 

 いまもコーラスなどで実際に歌っている人は大いに自分の発声の参考にし、歌わない人にとってもいい発声とはどういうものかを知るいい機会になりました。講演終了後、カストラートやヨーデル、宝塚の男役の発声朗読の発声などについても質問がありました。

「音楽には人を変えるエネルギーがあります。歌にはすべての壁を超えて私たちの体に喜びを与えてくれます。歌声は私たちすべての人に喜びを生きる力をもたらすに違いありません」という下村さんの言葉にはみなさんも深く同感されたのではないでしょうか。

【以下開催時のご案内抜粋】

   2023年度の初春を飾る三日月会1月度例会は、昨年8月度例会で予定していましたが新型コロナウィルス感染拡大の影響で延期になっていましたオペラ歌手の下村雅人氏(二期会会員)に、下記要領にて楽しいオペラの話をうかがいます。下村氏は数々のオペラに出演する傍らテノール歌手としてもご活躍中です。オペラもミュージカルも歌とストーリーが共に進行していくところは同じです。ではどこが違うのでしょうか。コアなオペラのウンチクだけでなく、30秒のオペラ入門や最近よく耳にする日本語訳オペラ、そしてだれでも耳にしたことがある有名なアリアなどについても語っていただきます。更には、三大テノールとして知られているカレーラスなどの海外のオペラ歌手は、なぜ日本語の歌が上手なのかなど、とっておきの情報もご披露いただけるそうです。

 オペラが身近に感じられる貴重なチャンスです。是非とも多数の皆様のご参加を賜わりますようご案内申し上げます。

                                記

日  時:2023年1月7日(土曜日)14時30分~15時45分【14時開場】

場  所:関西学院同窓会本部 銀座オフィス

  東京都中央区銀座三丁目10-9 KEC銀座ビル7階

アクセス:都営浅草線「東銀座」A8徒歩1分、銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座」駅A12徒歩3分

会  費 :1,000円 (小ペットボトルの飲み物を用意いたします。)

講  師 : 下村雅人(しもむら まさひと)氏 テノール/Freude 代表

 国立音楽大学声楽科卒業後、イタリア声楽コンコルソ金賞、国際芸術連盟オーディション 一位、

 日伊声楽コンコルソ入賞、飯塚新人音楽コンクール優秀賞、佐賀県音楽協会新人賞

 2009年6月:佐賀県音楽大賞受賞

 モーツァルトの「魔笛」タミーノでオペラ界にデビュー。 以後、プッチーニの「ジャンニスキッキ」リヌッチョ役

 ヴェルディ「椿姫」、アルフレード役・プッチーニ「ラ・ボエーム」ロドルフォ 役等数々のオペラに出演。

 2017年10月:エンリケ グラナドス生誕150年コンサートオペラ【ゴイェスカス】フェルナンド役

(演奏会形式/スペイン語上演)日本初演。

 2018年9月:グノー生誕200年コンサート  オペラ「サバの女王」アドニラン役   日本初演 。

 2011年:東日本大震災において、震災後逸早く音楽家へ発信し「小平チャリティーコンサート」発起人

 となり、毎年多くの義捐金を集め日本赤十字社、毎日希望奨学金制度、岩手の学び希望基金、

 ふくしまキッズプロジェクトinこだいらなどを通じて被災地支援を続けている。

 2020年第10回目を開催する予定が新型コロナウイルスの影響により中止になり、2022年再開。

タイトル :「オペラとミュージカルの違い」