12/16に12月例会を開催しました。体調不良の方なども居られ、8人の参加となりました。
日本初、クラーナハの大回顧展です。

「冷たい視線が惑わせる」

「500年後の誘惑」

 思わせぶりなキャッチコピーが気になる展示会です。

主催者からの抜粋を引用します。

ルカス・クラーナハ(父、1472-1553年)は、これまでにもっとも広く親しまれ、またもっとも強い影響力を放ってきた、北方ルネサンスを代表するドイツ人画家のひとりです。見る者を魅惑してやまない官能的な女性の裸体表現で知られるクラーナハは、その一方でまた、マルティン・ルターをはじめとする同時代の著名人たちの肖像画を数多く描き残すなど、激動の只中にあった宗教改革期のドイツ社会の集合的記憶を精彩に浮かび上がらせてくれる存在です。そう、クラーナハは、すぐれた過去の証言者であると同時に、時代を超えて未来のわたしたちを魅了する画家なのです。ウィーン美術史美術館による特別協力のもと、国立西洋美術館と国立国際美術館で開催されるこの展覧会は、そうした稀有な芸術家の全貌に迫る、日本で初めての試みとなります。
クラーナハは、1505年頃にウィーンで画業を開始し、その後50年近くにわたって、当時の神聖ローマ帝国の政治的・文化的な中心地のひとつ、ザクセン公国の都ヴィッテンベルクで宮廷画家として活動しました。ザクセン選帝侯に仕えた宮廷画家クラーナハは、しかしそれと同じくらいに、自立した事業家として成功を収めました。この画家は、時代に先駆けて大型の絵画工房を開設し、多大な人気を博したからです。その工房をつうじてクラーナハは、膨大な絵画制作の依頼を受注し、流行の主題をさまざまに変奏して描くことで、新たなマーケットの期待に応えてみせました。その成功はとくに、彼が1510年頃に確立した宮廷的で流麗な様式に支えられていました。クラーナハは、共同制作者たちが容易に構図を複製し、また改変できるようにしたばかりでなく、蛇をモティーフとした印象深いサインによって、数多くの自作に、いわば商標を与えたのです。
そんなクラーナハは、つねに革新者を演じつづけた画家です。アルプス以北のヨーロッパに裸体表現の発展をもたらした彼は、そのほかにも実に多彩なイメージ世界を新しく切り拓きました。そして、絵画だけでなく版画によっても展開されたクラーナハの仕事は、盟友であったルターの肖像、また彼の思想を独自に視覚化したイメージの数々が物語るように、とりわけ宗教改革への貢献において特筆されなければなりません。さらに、この画家が亡くなって以後は、同名の息子ルカス・クラーナハ(子 1515-1586年)が工房を長きにわたって担い、父の造形言語を引きつづき世間に広めていったのです。