【講演概要】

 三日月会3月度例会は、本学出身の新聞記者である近藤康介氏より、「“新聞はネットで”の時代が来るか~トランプ大統領誕生が招く懸念~」をテーマで講演していただきました。62名の方にお集まりいただきました。ありがとうございました。

  日本で新聞が刊行されて150年になりますが、近年の総発行部数の推移を見ると、2000年から2016年の間に部数は2割減少しています。その減った部数を補う形で電子新聞が台頭して来ました。

  以前は通勤電車の中で新聞を読む人の姿がたくさん見られたものですが、今ではそれがスマホに取って代わられています。

 そもそもインターネット新聞とは何なのか? 次の6つのテーマで、近藤氏はその正体を分析して、来るべきネット社会の危険性を予告され、それに対する処方箋を提示してくださいました。

①「勃興」インターネット新聞

 ・紙の新聞からインターネット新聞へ、新聞各社は新たな収益源として力を注ぐ。

②「特徴」ネット新聞の利点は

 ・いつでもどこでも見られる「手軽さ」が最大の売り物である。速報ニュースも電子スクラップも。

 ・英インディペンド紙は新聞紙をやめてネット新聞のみになった事例もある。

③「発展」人工知能(AI)との連携も

 ・「読まれる記事」「注目の記事」をAIが誘導することや、ネット新聞にリンクも可能となる。

  ・ただ「情報操作」など懸念される点もある。

④「障害」ネット上に疑わしい情報も

 ・昭和の時代から「新聞紙は信用できる、しかしテレビは..」の歴史。新聞への信頼感は強い。

 ・匿名性に守られたネット情報への「信憑性」「信頼性」は心もとない面もある。どこまで信用していいのか。

 ・特にSNS(ソーシャルネットワークサービス)には都合のいい情報ばかり集まる傾向がある。

  ・SNSは「価値観や考え方が近い人ばかりで集団化する」傾向があり、情報が一方に偏りがち。

⑤「同根」怪情報とネット新聞同一視

  ・怪しい情報もネット新聞も「同じネットを通じて得られる」情報である。

  ・新聞社が100年以上の時をかけて読者と築き上げた「信頼」が揺らぐ恐れもある。

  ・仮に「信頼」が失われたら、それは報道機関としての致命的な問題になりうる。

  ・最終的にメディアの存在意義そのものが問われかねないことになる。

⑥「解決」真贋を見抜くためには

 ・こうした問題点を乗り越えるには、ネット情報配信元の「格付け」がカギになる。

 ・「○○社の情報の多くは正しいが、◎◎社の情報の多くは誤っている」的な格付けから  信頼を得るしかないか。

 ・読者に「見抜く目」を持ってもらうことが報道機関としての使命になる。

 今後インターネット新聞が主流になると予測されますが、玉石混交のネット空間の中でいかに多くの真実の情報を提供するかが新聞社に求められるでしょう。そのためには長年培ってきた「信頼」を崩さないための努力が必要です。我々読者もまた「見抜く目」を持つことが情報の海に溺れないための処方箋なのではないでしょうか。

 なお、最後に時事情勢として、トランプ大統領は、インターネットを武器にして選挙戦に勝ったと言われています。大統領のSNS手法などトランプ大統領問題もお話しいただきました。

【今回のご案内】

 三日月会3月度例会は、興味・関心の高いマスメディア(マスコミ)論、『新聞はネットでの時代が来るか』がテーマです。同窓で全国紙現役記者の近藤康介氏より下記内容についてお話を伺います。政治、経済、社会、文化・・・世の動きを伝えてくれるマスメディア。人口減や若者の活字離れ、インターネットという新たな媒体の登場・浸透により、新聞を取り巻く環境は激変しています。

新聞の発行部数は大きく減り、新聞社はインターネット新聞(電子版、ウェブ新聞)を新たな収益源に育てようとしています。一方で、ネット上には莫大な情報が満ち満ちていて、この大海原にはニセ情報も少なくなく、中には意図的に流されたデマすらある状況です。違いを打ち出せるのか?

また、何かと話題のトランプ米大統領。この世界中を驚かせた大統領選は、新興のネット新聞にとって逆風となりかねない火種の一つです。さらに人工知能(AI)が人手不足を解消するどころか、人から仕事を奪いかねない勢いで進化を見せる中で、新聞記者へ影響を与えることはないのか?

是非とも多数の皆様のご出席を賜りますようご案内申し上げます。

日  時 :2017315日(水曜日)12151330

場  所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール

      千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

      サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(11:3012:10)を設置。

会  費 :1,500円 (軽食は11:45から講演前にお出しいたします。)

講  師 :近藤 康介(こんどう こうすけ) 全国紙現役記者

   1997年:福岡県立小倉高校から関西学院大学文学部に進み、同年3月に史学 科卒、4月に大手新聞社入社。東京本社編集局記者として、主に経済分野の取材、執筆、編集作業にあたる。2003年:系列の在京テレビ局報道部門に出向、主に経済ニュース番組の取材、番組制作にあたる。2006年:東京本社編集局帰任、再び経済分野の取材、執筆、編集作業にあたる。2010年:新潟支局異動、2011年3月の東日本大震災発生後は被災地へ繰り返し取材に入る。2013年:東京本社編集局帰任、インターネット新聞の取材、執筆、編集作業にあたり現在に至る。

タイトル:「“新聞はネットでの時代来るか トランプ大統領誕生が招く懸念」

*申込締切 201739日(木)(締切厳守)です。人数に制限がございますのでお早めにお申込み下さい。なお、出席される方のみお返事を頂きますようお願いします。

*お申し込み方法:お申し込みは締切りました。

同窓会東京支部のkg_tokyo_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんのでご了承ください。

*お問合わせ先:東京支部  TEL 03-5224-6226  FAX 03-5224-6227

【次回予告】三日月会4月度例会は419日にNPO法人STAND代表理事伊藤 数子様をお招きして『すべての人が好きなスポーツをする社会へ』と言うタイトルで開催する予定です。

以上