【講演の概要】

  4月度例会はパラスポーツの普及に尽力しておられるNPO法人STAND代表理事の伊藤数子様に講演をお願いしました。52名の皆様にご参加いただきました。ありがとうございました。関学はSTANDと協定を結び、パラスポーツの普及に協力しています。東京オリンピックはいよいよ3年後の開催です。回を重ねるごとにパラリンピックに注目が集まるようになり車椅子バスケや陸上などをテレビで見る機会もふえました。パラスポーツとはどういうものか、私たちに協力できることはあるのかなど知りたいことがたくさんあります。

 テーマは「すべての人が好きなスポーツをする社会へ」です。スポーツは楽しく社会生活を送るのになにより有効な手段です。すべての人とは年齢、性別、マイノリティ、障害者も含めた人のことをいいます。障害は特別なことではなく、病気や事故、戦争などによりだれでも障害者になる可能性があります。以前は障害者スポーツと呼んでいましたが、現在、国際パラリンピック委員会が推奨している言葉はパラスポーツです。

 金沢で2003年に脳性麻痺や筋ジストロフィーなど重度の障害の方の電動車椅子サッカーの全国大会のインターネット中継を実現させ、みんなで見ていたところ、障害者をさらしものにするのかと怒られた経験があったそうで、そういうふうに考える社会はおかしいのではないか、スポーツを通して共生社会をつくりたいと思うようになられたそうです。

 第一回のパラリンピックはローマ大会で東京オリンピックのときが2回目で22カ国325名が参加し日本人は53名でした。もともとは傷痍軍人のリハビリのために始まったもので、イギリスのストーク・マンデビル病院のグットマン医師が世界で初めて提唱しました。この東京大会の出場選手のひとり洲崎勝巳さんの経験談が語られました。洲崎さんは75歳。もともと大工さんです。当時の障害者はほとんどが施設か病院に入っていて短命だったそうです。洲崎さんも大分の国立別府病院に入院中でしたが、そこの中村医師がイギリスの病院に留学しパラスポーツを知って、帰国後須崎さんに下半身以外はどこも悪いところがないので、パラリンピックの参加を薦めました。そしてバスケットボールや平泳ぎ、卓球に出場しました。選手村で各国の選手と交流し彼らが家庭を持ち、仕事をし、スポーツを楽しんでいることに感銘を受け、その後、車の免許を取り、仕事にも就き家庭も持たれたそうです。

 障害者の自立はそれまでは考えらなかったことだったのですが以後障害者スポーツ協会が設立されました。

 STANDでは体験会も企画しています。オリンピック選手でコンバインで左手をなくした選手の手に触れた子供が痛くないのと聞いたとき選手が治ったから痛くないよと答えたら「同じだね」とびっくりし、足が短い障害者の女性にどうして寝るのと尋ねた子供がふとんで寝るという答えに同じなんだという感想を述べたそうです。このようにみんな同じだと考えるのが共生社会なのですね。

 内閣府の調査ではパラリンピックを98.2パーセントの人が知っていますが、競技種目で知っているのはバスケやテニスで30パーセントです。東京パラリンピックに行きたいと回答した人が46パーセントですが、そのうち是非行きたいという人はたったの4パーセント。残りは行けたら行くだそうです。

 企業などにチケットは売れても会場に足を運んでくれる人が少ないのでは意味がありません。ぜひこの競技が見たい、この選手を応援したいと思ってほしい。パラリンピックまでにも視覚障害者柔道講道館でまた車椅子バスケの大会が開かれるなど機会があれば見に行って欲しいとのことです。そういうことの積み重ねで初めて席だけが完売ではなく、実際に満席になるのですね。

 お話を伺い初めてパラスポーツや共生社会の意味が理解できました。参加してこの講演を聴かせていただいた私たちが観戦の機会を持ち、パラスポーツのことをまわりの人たちに伝えていくことがささやかな協力になるのではないでしょうか。

【以下ご案内文です】

  三日月会4月度例会は、関西学院大学が昨年12月15日に連携協力に関する協定を締結しました特定非営利活動法人STANDの代表理事伊藤数子氏に『すべての人が好きなスポーツをする社会へ』と言うテーマで下記の通りご講演を賜る事になりました。本協定は、“Mastery for Service”をスクールモットーとする関西学院大学と、すべての人が持てる力を発揮し誇りある自立を得るとともに明るく豊かに暮らす社会実現を目指すSTANDが、パラスポーツの普及、人材育成の分野で相互に連携を行うものです。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて我々首都圏の同窓生はどんな活動ができるのかを伊藤数子氏と一緒に考えたいと思います。

是非とも多数の皆様のご出席を賜りますようご案内申し上げます。

日  時 :2017419日(水曜日)12151330

場  所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール

                 千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

      サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(11:3012:10)を設置。

会  費 :1,500円(軽食は11:45から講演前にお出しいたします。)

講  師 :伊藤 数子(いとうかずこ)氏 / NPO法人 STAND  代表理事

スポーツ庁 スポーツ審議会 委員。公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 顧問。1991年 石川県金沢市にて企画会社パステルラボ設立。代表取締役として経営の傍ら車いす陸上競技の観戦が契機となり、2003年から電動車椅子サッカーなどの競技大会のインターネットライブ中継を開始。2005NPO法人STANDを設立し、パラスポーツ事業を本格始動させる。総務省u-Japanベストプラクティス他多数の賞を受賞。NPO法人STANDが運営するウェブサイト「挑戦者たち」では編集長として障害者スポーツの魅力を様々な角度から発信。障害者スポーツの普及を加速すべく、体験会の開催や、2015年にはボランティアアカデミーも開講。総務省情報通信審議会専門委員。日本パラリンピアンズ協会アドバイザー。広島大学客員教授なども努める。

演  題 :『すべての人が好きなスポーツをする社会へ』

*申込締切日は、413(木)(締切厳守)ですが、人数に制限がございますのでお早めにお申し込みください。尚、出席される方のみお返事を頂きますようお願い申し上げます。

*お申し込み方法:お申し込みは締切りました。

尚、同窓会東京支部のkg_tokyou_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無いようお願い申し上げます。

*お問合わせ先:東京支部  TEL 03-5224-6226  FAX 03-5224-6227

【次回予告】 5月度例会は524日(水曜日)

  講師:野田聖子衆議院議員

  演題:未定

                             以上