午後のセミナーとして、4月からリニューアルした三日月会の一回目は、味の素株式会社アミノサイエンス統括部の小林久峰をお招きして、「サルコペニアと栄養・アミノ酸による予防対策」についてお話しいただきました。53名の皆さまにご参加いただきました。ありがとうございました。 

 若い頃からラグビーをなさり、今も現役で身体を鍛えておられる小林は、筋力の衰えとは無縁のようですが、サルコペニアの研究を続けて20年になるそうです。 

 小林はもともと畜産獣医学を専攻して味の素株式会社に入社され、アミノ酸に関わる仕事されていました。1998年からヒトの健康に関わるようになり、サルコペニアをテーマにされました。サルコペニアに関してはアメリカの研究は進んでいます。99年にはテキサス大学に留学してアミノ酸と体の筋肉の研究をし、2012年からは味の素の健康ケア開発企画部で、アミノ酸を使った商品の開発をなさっています。 

 サルコペニアとは何でしょうか。サルコは肉、ペニアは減少を意味し、文字通り「筋肉の減少」を意味する言葉です。筋肉には運動器として「動く」「使う」「「蓄える」の機能があります。 

  運動以外にエネルギーにして消費する機能や糖をグリコーゲンとして蓄えたり、タンパク質をアミノ酸として蓄える機能もあります。 

 しかし加齢と共に筋力、筋量、筋パワーは減って来ます。歩く速度が衰え秒速1メートルを下回ると、横断歩道が渡り切れなくなります。筋力は握力ではかることができます。 

 サルコペニアに似た現象にロコモティブシンドロームとフレイルがあります。フレイルは高齢者の認知機能や身体機能の虚弱状態をいいます。ロコモは運動器の障害による移動機能の低下です。どちらも身体機能が衰える現象なのですが、身体機能が衰えると、転倒、骨折が増え、要介護になったり、認知症になったりします。一般に筋力が弱いと死亡率も高くなると言われています。 

 筋力を高めるには運動と栄養が必要です。「貯筋」という言葉があります。筋肉を使えば使うほど増えるのです。 

 栄養に関してはどうでしょうか。 

 ヒトの身体は10万種類のタンパク質でできていますが、わずか20種類のアミノ酸の結合から作られています。20種類のアミノ酸は必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けられます。必須アミノ酸は体内で合成できないので、食物などから摂取しなければなりません。必須アミノ酸は9種ありますが、特にロイシンの働きが重要です。ロイシンには、筋肉のタンパク質の合成を促す作用があるからです。ロイシン高配合必須アミノ酸の摂取は、タンパク質そのものを摂取するより、少量でも同程度のタンパク質合成を引き起こし、適切な運動と組み合わせると、サルコペニアが改善して、健康寿命の延伸にも期待が持てます。 

 最後に、「多様な食材を食べて元気に!」というタイトルで、体に必要な食品について伺いました。 

 「さあ、にぎやかにいただく」さかな、あぶら、にく、ぎゅうにゅう、やさい、かいそう、いも、たまご、だいず、くだものです。 

 運動と食事だけではとりきれないアミノ酸をプラスすることでサルコペニアが改善するというお話をうかがい、高齢化への対処法を知ることができました。ありがとうございました。

【以下案内文です】

 三日月会例会は、ランチョンセミナーとして同窓会東京支部の皆さまにご参加いただいてまいりましたが、20184月の今月より午後開催のセミナーに変更させていただきます。13時開場、13時30分から開始、軽食の提供はございません。ご参加の皆様には、開催要領の変更にご注意ください。

 さて、4月は、味の素株式会社アミノサイエンスの小林久峰氏をお招きして、下記内容にてご講演いただく事になりました。人間誰しもが、加齢に伴い心身機能が低下(虚弱化)していきます。転倒、口腔機能の低下、認知機能の低下、尿失禁、筋肉の衰弱、歩行障害や関節障害など、いずれも高齢期の生活に負の影響をもたらす症状が現れます。とくに筋肉量の減少や衰えをサルコペニアと呼び、他の多くの高齢期の症状にも関連し、要支援・要介護状態の要因となるため、豊かなシニアライフをおくるためには、この予防対策は非常に重要です。

そこで、日本に於けるサルコペニアの第一人者小林久峰氏にサルコペニア対策に関して、分かり易くご講演頂く予定でございます。

是非とも多数の皆様のご出席を賜わりますようご案内申し上げます。

                  記

日  時 :2018425日(水曜日)133014451300開場】

場  所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール

      千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

      サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(13:0013:25)を設置

会  費 :1000円 (小ぶりのペットボトルのお茶を用意しますが、軽食の提供はございません。)

講  師 :小林 久峰(小林 ひさみね)氏 味の素株式会社シニアマネージャー

  1965年富山県生まれ。1989年 東京大学大学院農学系研究科畜産獣医学専攻修士課程修了。同年味の素株式会社入社。1992年 森下ルセル株式会社(出向)。1999年 テキサス大学医学ガルベストン校外科(研究派遣)。2014年 味の素株式会社研究開発企画部。2018年 味の素株式会社アミノサイエンス事業統括部。

講演題目:「サルコペニアと栄養・アミノ酸による予防対策」

*申込締切 2018420日(金で締切りました。

 尚、同窓会東京支部の kg_ tokyo_ soumu@yahoo.co.jp  へのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無い用ようにお願い申し上げます。

*お問合わせ先:東京支部  TEL 03-5224-6226

【次回予告】三日月会5月度例会は523日(水曜日)に平松 (旧姓:上野)純子氏をお迎えして、仮題『スポーツの力』と言うタイトルで開催する予定でございます。

以上