三日月会11月度例会は、NPO法人STANDの伊藤数子氏をお迎えし、東京パラリンピックを振り返り、パラリンピックのレガシー、障がいのある方々との共生社会の在り方につてご講演をいただきました。前回同様、Zoomによるオンライン講演会で、21名の方にご参加いただきました。誠にありがとうございました。

【ご講演の概要】

1.STANDの立ち上げ

   伊藤氏がパラスポーツと出会われたきっかけは、2003年に住んでいた金沢で電動車椅子サッカーを見たことからです。電動車椅子サッカーの大阪での全国大会のネット中継を初めて行い、体育館のロビーにモニターを置いて、多くの皆さんに見ていただこうと呼びかけたところ、ある方から「障がい者をさらし者にして、どないするつもりや」と言われ強い違和感を覚えました。“さらし者”とは、人前で恥をかかされた人のこと、おかしいのではないか。社会に障がいのある人をさらし者と言ってしまう闇の部分があるのではないか。これは変えることが出来るのではないかと思い、パラスポーツが社会を変える道具になるのではないかとの視点に立ち、2005年にNPO法人STANDを立ち上げました。衝撃的な言葉を投げかけてくれた人を今は恩人と思っているとのことです。

2.「We The 15」(Were people with disabilities. Were 15% of the world.)

   パラリンピックが終わった後の新聞社アンケートでは、パラリンピックを開催して良かったと7割の人が回答しています。テレビでの放送は、今までで一番多い450時間でした。開会式は感動的で、様々な障がいのあるアーティストが参加していました。更に開会式のグランドのなかでサポートしているボランティアの人達も様々な人たちがいました。選手団を除く開会式を構成した全員の人たちは、「We The 15」でした。「We The 15」とは、世界の人口の15%に障がいがあるという意味で、約12億人いるということです。選手団を除く開会式を運営・構成した人たちの内、障がいのある人たちの割合が15%でした。障がいのある人たちが15%いる状態が普通であるということを皆さんにお知らせしたいという意図があったそうです。

3.オリンピック・パラリンピックの開催目的とレガシー

   オリンピックは、「平和でより良い社会の実現に貢献すること。」というオリンピック憲章に基づいて行われています。パラリンピック委員会は「より良い社会を作るための社会変革を起こそうとするあらゆる活動のこと」をムーブメント、「インクルーシブな社会の創出」をゴールと定めています。2020東京オリンピック・パラリンピック開催目的に三つのコンセプト①全ての人々が自己ベストを発揮。②多様性と調和。③未来への継承が掲げられていました。これらに強く、速く、メダル、何秒そして戦うといった言葉が出てきていないのです。

   1964年に開催された東京パラリンピックは初めてオリンピックと同時に開催されました。日本は53名が参加。内働いていた人は3名でした。日本選手は、パラリンピックに参加して、他の国の選手は、仕事を持ち選抜されて参加していたことを知り、障がい者も働くことが出来ることを知りました。病院で寝ていた生活から、外に出て働いて生活をするという自立への契機となりました。1964年のパラリンピックのレガシ―は障がい者の自立だったのです。

   2020年オリンピック・パラリンピックのレガシーは、社会を変えようという活動です。オリンピック・パラリンピック開催意義は、競技を見よう、楽しもうではなく、社会変革活動をすることなのです。しかし閉幕してからは、パラスポーツの記事は見かけなくなりました。スポーツからのアプローチで共生社会をどう進めるか。何をするか。本当の意味でこれからが本番なのです。

4.ボランティアアカデミープログラム

 2020東京オリンピック・パラリンピックが決まった時、ボランティアをしたい人から沢山問合せがあり、STANDではボランティアアカデミーというプログラムを作りました。講座を開催して、参加者から障がいのある人達が、もっと町に出かけてくるような社会を作るためにボランティアアカデミーを開催したことから、スポーツ大会のボランティアをしようという活動にもつながりました。これらのことにより、共生社会への道筋が出来たと感じています。

5.共生社会の在り方を考えるキーワードは「慣れる」こと

   すべての人がスポーツをする社会はどんな社会なのでしょうか。これには「なれる」と言うことが重要だと思っているとのこと。車いすはその人の特徴ではなく、話したり触れ合ったりして慣れることで性格が判り、人間としてお付き合いが出来るようになるのです。車椅子ラグビーの試合を何度も観ることよって、試合の面白さ、選手の特徴など分かり「慣れて」くるのです。スポーツの一つとして見るようになるのです。「慣れる」ことが共生社会の在り方を考えるキーワードとなっていくものと思います。

6.社会変革活動の更なる継続

   障がいは、その人にあるというのは一般的な見方ですが、これからは障がいは社会にあるという視点で見ていくのが共生社会の在り方ではないか。あるビルにエレベーターがなくて車いすの人が利用出来ないのは、個人の問題とするのが今までの視点ですが ,エレベーターが無いというビルにエレベーターを作り、障害を解消していくことを社会の問題として捉えていく、これがこれからの共生社会の在り方なのです。

 このことを頭に置いて、様々な障がいのある人に触れて慣れていく、そのような機会を作っていくことが、パラリンピックを経験して、私たちの脳裏に障がい者のパフォーマンスが焼き付いている内に、社会変革活動を一人一人の行動で起こしていく機会だとのことです。

   少しずつの社会変革活動が起こって、更に継続していくのが伊藤さんの活動の基本姿勢です。

 パラリンピックが終わってからまだ2か月しかたっていないのですが、随分前のことのように感じます。しかしパラリンピックでは、障がいのあるアスリートの皆様の競技に感動を沢山いただきました。今回のご講演で、障がいは社会にあるという今までにない視点をお伝えいただきました。これからは、社会を変えるという視点に立ち、スポーツ、パラスポーツを見ていきたいものです。 

 【以下ご案内文】

 三日月会11月度例会は、誰もが明るく豊かに暮らす社会を実現する「ユニバーサルコミュニケーション活動」を推進するためにNPO法人STANDを設立し、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会顧問、総務省情報通信審議会専門委員、日本パラリンピアンズ協会アドバイザーなども務めた伊藤数子氏をお迎えします。 9月に閉幕したパラリンピックを振り返りながら、すべての人が好きなスポーツに関わる社会について、下記要領にてご講演いただきますので、是非とも多数の皆様のご参加を賜わりますようご案内申し上げます。

日  時 :2021年11月13日 (土曜日) 14時30分~15時45分
                 【14時00分から三日月会例会に参加可能】

開催方法:Zoomソフトを使用するオンライン方式で行います。

参 加 費:無料

講  師 :伊藤 数子(いとうかずこ)氏 NPO法人STAND代表理事
                       株式会社パステルラボ代表取締役社長
                             広島大学客員教授

    • 1991 パステルラボ設立し、代表取締役に就任
    • 2005 金沢市ITビジネス大賞受賞
          NPO法人STAND設立
    • 2006 総務省u-Japanベストプラクティス2006
         日経地域情報化大賞 CANフォーラム賞
    • 2008 MCPCアワード 特別賞
         総務省u-Japanベストプラクティス2008
         石川県バリアフリー社会推進賞 最優秀賞
    • 2009 MCF モバイルプロジェクトアワード 奨励賞
    • 2013 総務省北陸総合通信局長表彰
    • 2020 日本ITU協会賞 特別賞
タイトル:『すべての人が好きなスポーツに関わる社会へ』

*申込締切 2021年11月8日(月)(締切厳守)です。
参加人数に制限がございますので、以下手順にてお早めにお申込み下さい。

ホームページからの申し込み方法:
1. 関西学院同窓会東京支部ホームページ の 『会員マイページ』をクリック
2. 『会員ページはコチラ』をクリック
3. ログイン画面がでるので、関西学院同窓会東京支部の会員IDとパスワードを入力してログイン
4. ログインして開催中イベント一覧がでたら、三日月会のイベント申し込みをする。
5. 申し込みが成立すれば申し込み完了メールが届きます。

会員番号やパスワードをお忘れの方、東京支部会員でない方の申し込み方法:
1.次のURLをクリックして所要事項を記入して送信ください。
  https://forms.gle/VDTf7EpAYjf8msE76
2.申し込みが成立すれば申し込み完了メールが届きます。

尚、同窓会東京支部のkgsoumu@kg-tokyo.comへのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無いようにお願い申し上げます。

Zoomによるミーティングへの参加手順(初めてZoomを使用される方):
1. Zoomソフトは、カメラとマイクとスピーカーのついたパソコンまたはスマホやタブレットなどの機器を使用して、オンラインでセミナーや会議を開催するために開発されたアプリケーションソフトです。スマホは画面が小さいため使いづらいので、可能であればパソコンがお薦めです。
2. 参加申し込みされた方に、メールで前日の11月12日にZoomによる三日月会例会参加の招待状を送らせていただきます。
3. 講演会当日午後2時以降に招待状の中に「Zoomミーティングに参加する」の下にあるアクセスアドレス(URL https://zoom.us~)をクリックしてください。
4. 画面が表示され、最下段にある「今すぐダウンロードする」を選択します。
5. ダウンロードされたファイルが左下に表示されます。これを選択(左クリック)します。Zoomのインストールが終了するまでそのままお待ちください。インストールが終わったら「ミーティングを起動」をクリックしてください。
6. 次にZoomで使用する名前を入力する画面になります。漢字で姓、名を入力する。「将来のミーティングのためにこの名前を記憶する」にレ点チェックを入れる。次回から省略できます。入力後「ミーティングに参加」を選択します。
7. 次の画面で「ビデオを付きで参加」を選択すると、三日月会運営ホスト(主催者)宛にリクエストが発信され、「ミーティングのホストは間もなくミーティングへの参加を許可します、もうしばらくお待ちください。」と表示され、ホストの許可を待ちます。
8. ホストが許可すると「どのようにオーディオ会議に参加しますか?」の画面が表示され、「コンピューターでオーディオに参加」を選択します。ミーティングへの接続時に、自動的にコンピューターでオーディオに接続するにレ点チェックを入れておくと次回から省略できます。
9. 以上の操作で参加(Zoomでは入室と言います)できます。当日は午後2時から入室できます。

(Zoomでの参加経験のある方):
1. 参加申し込みされた方に、メールで前日の11月12日にZoomによる三日月会例会参加の招待状を送らせていただきます。
2. 講演会当日午後2時以降に招待状の中に「Zoomミーティングに参加する」の下にあるアクセスアドレス(URL https://zoom.us~ )をクリックしてください。
3. 次に「Zoom Meeting を開く」をもう一度クリック
4. 三日月会運営ホスト(主催者)宛にリクエストが発信され、「ミーティングのホストは間もなくミーティングへの参加を許可します、もうしばらくお待ちください。」と表示され、ホストの許可を待ちます。
5. ホストが許可すると「どのようにオーディオ会議に参加しますか?」の画面が表示され、「コンピューターでオーディオに参加」を選択します。前回レ点チェックが入っていると省略される。
6. 以上の操作で参加(Zoomでは入室と言います)できます。当日は午後2時から入室できます。

*お問合わせ先:東京支部 TEL 03-6260-6277 又は
        三日月会担当副支部長 高田弘治 携帯080-5917-4537

【次回予告】決まり次第ご連絡申し上げます。

以上