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<ペーパーバックス・ファン >

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■「歴史と口承伝説 」

文字の起源は紀元前32世紀メソポタミアの楔形文字 (Cuneiform)と前30世紀エジプトのヒエログリフに遡り、それを海洋民族のフェニキア人が簡潔な表意文字にしたのが前10世紀ギリシャ文字のアルファベット原形になったというのがおおかたの歴史家による定説です。

歴史には文字、文書による記録といった傍証が欠かせないようで、それ以外は単なる伝説として記録には入りません。イギリス先住民のケルト人が5世紀頃侵入してきたアングロ・サクソンに一度だけ大勝利したのが有名なアーサー王伝説になっていますが、ケルトには吟遊詩人(Bard)による口承伝説があったのですが、文字を持たないため文書による記録がなく歴史家はアーサー王の存在にも否定的です。(全面否定から複数説まで。)

一方、古代ギリシャの哲学者ソクラテス (BC470-BC399) は文字による記録に否定的だったといわれます。彼はすべてを記憶し、豊かな弁舌で伝えるのでなければ人に対する説得力がないという考えだったそうです。弟子のプラトンが書き残さなかったら、ソクラテスの存在も希薄だったかも知れません。

文字を持たなかったケルトの口承文化が決して未開で野蛮なものでないことをソクラテスの哲学が物語っていないでしょうか?

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■「数学 (Math)」

小説「ダビンチ・コード」に登場した有名なフィボナッチ数列/Fibonacci sequenceは0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21,・・と前2つの数字の和が次ぎの数字になる数列でしたが、ロバート・ラドラム “The Ambler Warning” (2005)にもちらっと出てきます。数学の世界というのは一見無機質な数字が不思議な規則性を持ってたり、ランダムに見える展開が実は単純な法則に従ってるとか、また逆に予測不能になる複雑な現象を簡単な数式で表わせたりします。

ニュートン力学の出発点が惑星の運行を正確に知ることだったように、物理・数学の世界は宇宙をはじめ自然界の法則から導かれたものが多いようです。一見単純な数式が無限の解を持ち、それをコンピュータ解析すると綺麗な模様が現れるマンデルブローの集合。初期条件のごくわずかな違いが予測不能の現象に展開するフラクタル(fractal)、カオス(chaos)、複雑系(complexity theory)は地震や火山の噴火予知とか天気予報の限界を説明するのにも使われますが、それが社会現象や経済の動きにも応用されるようになったのは1980年前後からでマイケル・クライトン「ジュラシック・パーク」(1990)をはじめ小説の舞台にも色んな形で登場するようになりました。

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■「読書の傾向」

好きな作家は全作品を追っかける傾向があるようでして、学生時代は従兄から借りたドストエフスキー全集を読んだかと思うと、トルストイは一冊も読まなかったり。英語のペーパーバックを読み始め40年以上になりますが、ほぼ読みつくした作家というのは20人ほどでしょうか。数册読んだだけというのはその何倍かですが。


近年はW女史に紹介されたクライブ・カスラーやダン・ブラウンがお気に入りリストで、カスラーはダーク・ピット・シリーズ18册中16冊、それにNUMA Files(5冊)、Oregon Chronicles(3册)シリーズは全部といった。ダン・ブラウンもこれまでの4作品は読みました。カスラーやダン・ブラウンは小説の本筋よりも伏線に使われるデータが興味深いですね。マイケル・クライトンやロビン・クックなんかも同じ理由でごひいきです。



歴史や科学的背景がしっかりしたものは異説・外伝にせよ好きですが、やはり読ませるのは作家の筆力、storytelling のうまさです。でなければ学者の論文みたいで疲れるだけですから。アガサ・クリスティに科学的背景なんかあるのかと問いつめられると困惑しそうですが、ポワロやミス・マープルの描写は英国ビクトリア朝時代の上流階級の生活で、登場人物の教養・エスプリのきいたせりふがいいです。ギャビン・ライアルの名作「ミッドナイト・プラス・ワン」はミステリ・スタイルの紀行文 (Travelogue)といった洒落た構成で南ヨーロッパの香りが気に入ってました。



綿密な調査にもとづくデータもさることながら、登場人物に込められた作家の思い入れがいのちです。クライブ・カスラー “Night Probe” (1981) エンディングのシーンは主人公ダーク・ピットが自分を二度も殺そうとした敵の老スパイを彼に恋したHeidi Milligan のために見逃してやる。それも彼女が乗る飛行機の隣りの席(1st Class)の切符を渡して、というくだりは女性ファン泣かせでしょうね。ふだんは女たらしのダーク・ピットが見せた女ごころへの思いやりは、彼にとって罪ほろぼしだったでしょうか? それとも、騙しのテクニックとやさしさは紙一重なのでしょうか? 私にはよく分かりませんけど・・。

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■ダン・ブラウン「天使と悪魔」

「ダビンチ・コード」の前作とされるこの小説はシンプルで読みやすいのですが、ストーリー構成にちょっと無理があって出来はそれほどでもありません。ただ舞台になってるバチカン、ローマの彫刻、建造物、特にベルニーニの作品が非常にくわしく紹介されているのが嬉しいです。また、本筋とは離れたエピソードもなかなか気が利いたのがあります。たとえば、

“The church may not be burning scientists at the stake anymore, but if you think they’ve released their reign over science, ask yourself why half the schools in your country are not allowed to teach evolution.” Langdon realized Kohler was right. Just last week the Harvard School of Divinity had marched on the Biology Building, protesting the genetic engineering taking place in the graduate program.

 *アメリカでは学校の半分近くがダーウィンの進化論を教えることができないというのは、ちょっと気がつきませんでした。

“I plan to prove neutrinos have mass.” “Neutrinos have mass?” Langdon shot her a stunned look. “I didn’t even know they were Catholic!”

 *物理学の質量(mass) とカトリックのミサ(mass)をひっかけた軽妙なシャレです。 ご存知のとおりニュートリノは2002年小柴昌俊教授がノーベル物理学賞をとったので有名です。1987年カミオカンデで存在が確認されてからも質量があるかどうかが学者の間でずっと話題になって小説が出た2000年にはまだ確認されていませんでした。現在では質量の存在は公認されています。

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■「古い街並」

ヨーロッパの古い街では石畳(cobble stones)の狭い道をはさんで住宅がひしめくように建っているところがあります。人がすれ違うのがやっと、といった狭い路地(英語ではcloseとも呼ばれます)の先に教会の尖塔が見えたりして、生活感そのままの映像は見ていて素敵です。石を敷きつめた坂道は雨に濡れるとすべりやすく、靴の底も傷みやすいとかで住む人達には厄介なことも多いようですが。


海に近い丘に建った都市(リスボン、ニース etc.)に限らず平地でもそうですが、古代から中世の都市は外敵を防ぐため城壁 (Wall)で囲まれていました。限られたスペースですから人口増加があるとますます空間がせばめられたのと、城壁内に敵の侵入を許してもその威力をそぐために、わざと曲がりくねった狭い路地を張り巡らせたということもあるようです。



A bewildering labyrinth of alleyways peppered with false starts and dead ends would get the tourists quickly disoriented. There were no roads between the buildings, only mazes of narrow walkways built in Roman times. They were only wide enough for pedestrians and the occasional moped.


Dan Brown "Digital Fortress" 1998



また、ロンドンやヨーロッパの大都市には住宅街で広い立派な道を入ってゆくと先が行き止まりになってしまう cul-de-sacがあちこちにあります。もとは侵入した敵を追い込んでせん滅する目的で作られたものでした。現在では通り抜けできないのが不便だろうと思えるのですが、車の往来がないことでかえってプライバシーが保たれ、安全で静かな利点もあるので住民には保存の気持ちが強いようです。



古い建物がくっつきあった町は住みにくそうに見えますが、取り壊して作り替えるのを喜ばない人達が多いですね。中世からローマ時代にまで遡る建物や道路ですから絶えず修復しなければならないのですが、大切に保存するのは古い歴史をもつヨーロッパの伝統的な特色です。


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