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<ペーパーバックス・ファン >

サークル「会報」は2001年から書いています。でも作家や小説の好みは人それぞれ違いますから「会報」も相手ごとに気に入って頂けそうなのをと勝手に選んで送っていました。女性には「日の名残り」や「ケン・フォレット」、競馬ファンはもちろん「ディック・フランシス」、クリスチャンとかだと「ペーパーバックと聖書」「ミゼレーレ」といったあんばいに・・で、結局だれに何を送ったんだか分からなくなってしまいました。このサイトに書き込みができるようになる以前、プリントアウトを郵送していた頃の話ですが。
世話役:安部隆雄(昭和34経卒)


“A Discovery of Witches”

デボラ・ハークネスの処女作 “A Discovery of Witches” (2010) が面白いです。以前エリザベス・コストバが書いた「ヒストリアン」(2005) も吸血鬼ドラキュラの血筋が重要なテーマでしたが、デボラ・ハークネス ”A Discovery of Witches” では魔女(Witches)、魔術師 (Wizards)、吸血鬼 (Vampires)、悪魔(Daemons) がいっぱい出てきます。しかし人間 (Humans) は彼等が近くにいても気づきません。彼等の仮りの姿である学者や医者、銀行家などをそのまま受け入れてしまうからです。(They can hide their secrets in plain sight.) 空想夢想のフィクションの世界と片付けるのは簡単ですが、人間の知覚を超えた世界というのも現実に存在しますね。たとえば、宇宙質量の95%以上を占めるダークマターやダークエネルギー、それに我々の住む四次元を超える高次元空間についても物理学者は疑う余地なく認識していますが、我々は知覚できません。そうした宇宙物理学者達はみんな悪魔や吸血鬼でしょうか??

人間離れした知恵を持ち、人の運命を見通し、目の前で不思議な術を使ってみせるといった能力を備えた存在(creatures)を人は時に悪魔、魔法使いと呼び、多くのばあい迫害してきたので彼等は人目をさけるようになったのでした。限られた世界であっても不思議な力を持つ妖精や魔女達は魅力的で時には天使のように、また時には悪魔の役割を演じ数多くの物語を飾っています。ピーターパンはもちろん、歴史的背景をもつ「アーサー王伝説」をはじめ、ジャンルが違うはずの「不思議の国のアリス」なんかも妖精や魔術師という表現はなくても不思議な才能をもった動物や登場人物が一杯です。

Deborah Harkness (1965/-) と前述Elizabeth Kostova (1964/-)は同世代の才女で二人とも学者です。コストバはエール大学とミシガン大学を出た美術史専門家 (MA Fine Arts)ですし、ハークネスはカリフォルニア大学など3つの大学で学位(BA/MA/PhD)を取得した歴史学者です。才女二人がそろって魔女や吸血鬼の世界を描いたデビュー作で有名になったというのも面白い偶然です。しかも、両方とも英オックスフォード大学が舞台になっています。「ヒストリアン」の主人公はオックスフォード大の女性歴史学教授という設定で、子供の頃から自分の近くに現れる吸血鬼のルーツを辿るというテーマでした。デボラ・ハークネス “A Discovery of Witches” の主人公は正真正銘の魔女です。それも1692年処刑された米国最後の Salem witch, Bridget Bishopの血を引くDr. Diana Bishop という設定。彼女は専門である中世史の研究のためオックスフォード大学に留学中です。大学のボドリアン図書館 (Bodleian Library)で17世紀の錬金術師が書いた謎の書物 (Manuscript: Ashmole 782) をひも解いたことから、不思議なことが次々と起こるのですが、その彼女を守っているのがなんと、16世紀ヘンリー八世時代の豪邸に棲む500歳をこえる英国の吸血鬼の親玉という奇妙な関係の中で物語は進行します。

“There are four kinds of creatures – humans, daemons, vampires, and witches.” “And where do daemons come from? How are we made? Why are we here? Humans hated us because we were different and abandoned their children if they turned out to be daemons. They accused us of possessing their souls and making them insane. Daemons are brilliant, but we are not vicious – not like the vampires. We would never make someone insane. Even more than witches, we’re victims of human fear and envy,” said Agatha Wilson sadly. “Witches have their share of nasty legends to contend with,” I said, thinking of the witch-hunts and the executions that followed.

デボラ・ハークネスは魔術師たちを人に危害を与える伝説上の悪魔とかでなく、知能指数が高い特異な才能をもった異端児的存在として捉えています。そういえば歴史上そうした異端者は幾度も迫害にあってきて、特に中世カトリック教会が絶対権力をふるっていた時代の最先端科学者たち(ガリレオ、コペルニクス etc.) は教会の目をさけ研究論文を密かに科学者同士で継承していました。ダビンチが裏文字で作っていたメモも人目をはばかってのことと言われます。(“It’s no better or worse to have the talents of a witch than it is to have the talent to make music or to write poetry – it’s just different.”)

“Giordano Bruno, an Italian philosopher who supported Copernicus and who crossed the madness-genius divide rather too frequently, I’m afraid.” “I should have known. He believed in extraterrestrial life and cursed his inquisitors on the way to the stake.”
(Deborah Harkness “A Discovery of Witches” 2011)



(注)この小説の鍵である謎の書物 “Ashmole 782” を書いた錬金術師は実在の Elias Ashmole (1617-1692) がモデルになっています。17世紀の歴史学者であり錬金術師でもあったAshmole の厖大なコレクションを引継いだのがオックスフォード大学の「アシュモール博物館」(The Ashmolean Museum of Art & Archeology)です。
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モルモン教のルーツ

「歴史上」米大陸を最初に発見したのは大航海時代のコロンブスですが、それ以前に南北アメリカ大陸に白人が移住していたことは各地の遺跡から出土した遺物や人骨などから知られています。ただ北米の白人社会にはコロンブスの新大陸 (New World) 発見に強くこだわる風潮もあって、極端なのはコロンブス以前 (Pre-Colombian) の白人先住民の存在を裏付ける遺跡・遺物を抹消しようとする者までいるので、そうした白人渡来説はことさら慎重に扱われるようです。そのためミステリ小説格好の材料にもなるようです。

一般的に知られるアメリカ大陸の先住民は、前回氷河期の終わり近くBC12,000年頃までにシベリアと陸続きだったアラスカを経由し南下したモンゴル系の人種が主流ですが、それ以外にも幾つかのルーツがあったことが知られています。舟で太平洋を渡って中南米西海岸にたどりついたポリネシア系や大西洋を越えてヨーロッパから来た白人(Caucasians)も少数ながら先住民の一部でした。シベリア・アラスカ経由ではモンゴル系以外にもインド、パキスタン、中東からの人種が入っており、アメリカ大陸先住民のルーツは多種多様というのが自然な結論です。

一方、白人先住民にまつわる伝説はクライブ・カスラーをはじめ多くの小説家が取り上げていますが、中でもちょっとユニークなのは米大統領候補ミット・ロムニーが教会員というので有名なモルモン教のルーツです。モルモン教は19世紀半ばJoseph Smith という人物が啓示を受けて作った比較的新しい宗派で、ユタ州 Salt Lake Cityを拠点に巨大な資金力を持つユニークな団体です。しかし、そのルーツ・原型をたどると紀元前600年ころ新バビロニア王国に滅ぼされたイスラエル南王国にいた12部族のひとつ、Manassehの末裔が新大陸に渡来していたことに行き着くという話ですが、ジェームズ・ロリンズ2011年の作品 “The Devil Colony” には登場人物の口を借りて、次のように紹介されています。

He wasn’t sure this was the right time to explain the history that was buried within the pages of the Book of Mormon, a testament of Christ’s footsteps in the New World.
“You have to understand a much-disputed section of the Book of Mormon. According to our scripture, Native Americans were said to be the descendants of a lost tribe of Israel, who came here after the fall of Jerusalem in roughly 600BC. Specifically they are the descendants of the Manasseh clan of Israelites.”
(James Rollins “The Devil Colony” 2011

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クライブ・カスラーがとりあげたのは Paul Kemprecos と始めた新シリーズ NUMA Files の第1作 “Serpent” です。(邦題「コロンブスの呪縛を解け」中山義之・訳 新潮文庫)

"The Brotherhood" had ties to a 15th century religious order. The group in modern times has attempted to hide and destroy all evidence of pre-Columbian contact between the New and Old Worlds. (ref. Clive Cussler/Paul Kemprecos “Serpent”)
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ケルト (The Celts)

ケルトの起源は定かではありませんが発祥地はカスピ海付近といわれ、紀元前2000年頃には東欧からヨーロッパ全体にまで広がっていました。彼等は共通の言語を持つ部族に分かれ、普段は敵対することが多いものの外敵に対しては共同で戦ったと言われます。ただ文字を持たなかったので紀元前5世紀頃までのことは断片的にしか知られていません。一般的にケルトといえば、
☆ ヨーロッパ文明の最古層
☆ 好戦的な金髪の戦士
☆ 聖なる森のドルイド神官
☆ 豪快な宴会
☆ 精緻な装飾と金属加工技術
☆ 幻の民
☆ 妖精のルーツ

などのイメージで知られ、現ヨーロッパ人(インド・ヨーロッパ語族)共通の先祖です。歴史に登場するのは紀元前5世紀ギリシャ文献に「ケルトイ」の名で記録されたのが最初です。当時アルプス北方のライン川とドナウ川に囲まれた地域の住民で、当時はまだ新しい金属だった「鉄」を自在に使い、共通の言語を話す部族集団とされます。この地のケルト人は紀元前800年頃ドイツ西部から約700年かけてヨーロッパ全土に展開し最盛期にはイベリア半島からバルカン半島、ブリテン島、スカンジナビアまで一大勢力を築きましたが、のちにローマと戦って敗れ支配下に置かれます。ブリテン島のケルト人はそれよりも古くストーンヘンジ巨石柱列を残したウェセックス人などが先史人を追い払って住みついたものです。

ケルト社会は部族長以上にドルイド神官 (the Druids) の影響力が大きかったようです。神官は何百もの儀式から掟、戒律、医学、天文、地理、その他日常生活に必要なあらゆる知識を身につけ、また部下や交易商人を通じ外部から情報収集も行っていました。ケルトは文字を持たなかったので、ドルイド神官は厖大な知識を全て記憶し口伝えで次世代へ継承していったのでした。(ドルイドは賢者the very wise onesの意。ローマ軍は侵入時に戦った相手の部族長は必ずしも殺さなかったのですが、ドルイド神官だけは例外なく殺害したと言われます。)

文字による記録がないことと部族集団のままでギリシャ、ローマ、エジプトのような帝国を築かなかったのも歴史上の存在を希薄にしています。彼等の生活は牧畜中心ですが遊牧民(nomads)でなく定住民 (settlers)でした。農業も行っていますがその比率は低かったようです。こうした小部族集団の生活様式はアメリカ・インディアンなどにその類似を見ることができます。ケルト伝説の一部は吟遊詩人 (Bard) によって語られ、その壮大な叙事詩もすべて記憶で語り継がれていました。ケルト文化を色濃く残すアイルランドで文字が一般化されたのは中世に入ってからですが、それ以前はアイルランド王朝の歴史を一言一句誤りなく暗記する特別な人材 (filads) が養成されていました。


Druids
“All you need do is memorize the six hundred and eighty-four curses of Beli Mawr and the two hundred and sixty-nine charms of Llen and carry in your head about a thousand other useful things.”
(Bernard Cornewell, “EXCALIBUR”)

Two distinct racial stocks colonized the British Islands before the Roman period: One was the small dark-haired, dark eyed and long-skulled Iberian stock who built what we now call megalithic monuments, and had a distinctive language. The other, the tall, fair, light-eyed and broad headed Celts, on the other hand, spoke an Indo-European (Aryan) language, and consisted of two branches; Gaels (or Goidels) and Britons (or Brythons). The Gaels had a more primitive Celtic religion and culture and conquered the Iberian natives then occupying the British Isles. They were followed by the Britons, with a more developed religion and mythology. Thus, the invading Romans found Britons (modern-day Welsh and Cornish) in possession of the south and west, Gaels (modern-day speakers of Irish Manx and Scots Gaelic) in possession of Scotland and Ireland, and Picts (a hybrid Iberian and Gaelic peoples) in the far north.
(“The Mythology of the British Islands”, Charles Squire)

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企業風土

マリナーズで10年間200本安打を続け人気・貢献度抜群だったイチロー選手も前年来の打撃不振でシーズン途中 (2012年7月) あっさりトレードされました。また、ヤフーのような大手企業も2011年業績不振に陥ると非採算部門はあっというまに移転・閉鎖で人員整理はあたりまえ。経営最高責任者(CEO) も唐突に交代するといったあんばいです。(ヤフーの女性新CEO & President, Marissa Mayer(37才) はグーグルから引き抜かれての就任。2012.7.16.)なるほどと感心もしますが、いかにもドライな風潮で企業風土(Corporate culture)とかはもう育たないのでしょうか? 

たしかにプロフェッショナル集団がしのぎを削る熾烈な競争の中でしか結果が出ない(業績を上げられない)大リーグ(MLB) や最先端IT産業などでは伝統や企業風土・文化といったのは無縁どころか、むしろ邪魔かも知れません。しかし、そうした一面だけから米国企業のすべてがそうであるかのように受け取るのは短絡し過ぎでしょう。人間関係 (personal touch) を重んじ、信用 (confidence) を殊のほか大切にし、企業自ら地域コミュニティにとけ込む努力を奉仕活動などを通じて行ってきたのは米国の伝統でもあるのですから。

ただ、1980年代から膨張を続ける投機資金を背景にした巨大金融市場が台頭し、新自由主義経済思想とあいまって「金がすべて」(money speaks for itself) の価値基準に振り回される傾向が顕著になったのも事実です。複雑なデリバティブ・金融工学商品が天文学的数字で瞬時に飛び交う先物投機の金融市場は企業風土とは無縁の仮想現実 (virtual reality) の世界です。すべてを金でドライに割り切るルールですから、そこで起こる「市場の失敗」を政府が救済するいわれはないはずです。しかし現実問題やむをえず救済に乗り出したのであれば、その先には厳しい規制があって当然でしょう。税金を使って金融機関を救済するのであれば、同じ轍を二度と踏ませない担保が必要ですから。

The system is racing towards a meltdown. “We got a system we can't afford to pay and can’t afford to do without.”  成長神話の中でしか生きられないのが、こうした仮想現実の世界ではあるのですが・・・

“An expansion?” she asked. “If you are not growing, Miss al-Bakari, you are dying.”
(Daniel Silva “Portrait of a Spy” 2011)

他方、仮想現実とは違う実体経済の世界で地道に生きるメーカーやサービス業の多くは、好不況の波にさらされながらもコミュミティに根をはやし、枝を広げます。それゆえこうした企業の浮沈は地域全体の運命にもかかわるという共通認識でも支えられています。またベネチアのガラス工芸、スイスの高級時計などに代表される伝統産業や老舗の中には金銭や数字で表わされる成長とは無縁なものも珍しくありません。利益の最大化のみを求めるのが人間社会の幸せとは限らないのですね。

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ケン・フォレット (Ken Follett)

デビュー作 "Eye of the Needle" (1978) がヒット、2007年の "World Without End"まで19作品というのは無理のないペースで内容的にも安定した作品を書いてきた英国作家です。中でも異色の作品が "The Pillars of the Earth" (1989)(邦題「大聖堂」矢野浩三郎訳)で約1,000ページの大作です。舞台は中世の英国、当時のイギリスはキリスト教が支配的で教会や大聖堂の建築が盛んでした。小説は大聖堂建築にかかわる数奇な運命を持つ親子2代の登場人物を介し当時のイギリス庶民の生活状態を克明に描いた歴史小説で、他の作品群(サスペンス小説)とは異質です。しかも常に歴史を彩る宮廷上流社会でないごく普通の庶民生活を活写しており、歴史に興味を持つ人には参考になると思います。ただ典型的な大河小説ですので読み切るには忍耐力を要します。この小説の題名は旧約聖書サミュエル記の言葉からです。

  "For the pillars of the earth are the Lord's
  And He has set the world upon them," (1 Samuel 2:8)

また、18年後に書かれたこれも1000ページを超える “World Without End” (2007) は「大聖堂」建設2世紀後の同じ町と森が舞台ですが、15世紀半ばヨーロッパを襲ったペスト大流行時のイギリスの状況がフィクションの中に織り込まれ、歴史好きの読者には参考になると思います。”The Pillars of the Earth” との2部作になっています。

2000年作 "Code to Zero" のペーパーバックが出たのは2001年6月でした。京王線の通勤電車で立ったまま読んでて終点新宿の手前で本をバッグに入れようとしたところ、ちょうど前に座っていた中年のご婦人に声をかけられました。『その本はもう翻訳が出ているのでしょうか? あたくしケン・フォレットのファンなんです。』とおっしゃって。あわてて表紙裏の出版記録を確かめ『このペーパーバックが出たのが5月ですので、翻訳は多分半年くらい先ではないでしょうか』と答えました。翻訳の単行本が出たのは暮れ近くでした。(翻訳「コード・トウ・ゼロ」戸田裕之訳)

They were at Harvard when she was at Radcliff, before the war. The boys were in the Harvard Glee Club: Luke had a nice baritone voice and Anthony a wonderful tenor. Elspeth had been the conductor of the Radcliff Choral Society and had organized a joint concert with the Glee Club.
(Ken Follett , “CODE TO ZERO”)

ケン・フォレット作品に駄作はまずありませんし、彼が50才をこえてから10年間の下記作品もすべて秀逸という充実ぶりです。

“Code To Zero” (2000),
“Jackdaws” (2001),
“Hornet Flight” (2002),
“Whiteout” (2004)
“World Without End” (2007)
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聖書と格言 The Sermon on the Mount, etc.

「聖書は自分で読むものです」と入門講座で教えられ、10年来読むのは専ら旧約聖書でした。新約は礼拝で必ず読まれますし、宣教で解説も聞くので自分から読むことはなかったのですが、改めて読み始めると再発見、再確認が多いのに驚かされます。

スパイ小説では情報機関 (CIA, MI6, MOSAD, etc.)の上司が部下に極秘命令を与える時のセリフ「右手がやってることは、左手にも気づかせるな。」は決まり文句です。 “Do not let your left hand know what your right hand is doing.” しかし、この言葉はキリストの有名な「山上の埀訓」に出ているのですね。(マタイ6章3節の英文聖書は上記の文言です。)キリストの教えはもちろん別の状況下での話ですが、言葉が一人歩きし有名な格言になった例です。よく知られる「豚に真珠」”Do not throw your pearls to pigs.” (Matthew 7: 6) や「羊の皮を被った狼」”wolves in sheep’s clothing” (Matthew 7: 15) も山上の埀訓にある言葉でした。

日本で株式市場関係者に有名な格言に「人の行く裏に道あり花の山」というのがあります。相場師のいう花の山はもちろん一攫千金のMoneyですが、この相場格言はおよそ聖書とは無縁のはずなのに・・前述キリストの山上の埀訓には酷似した言葉がでています。引用個所をていねいに読んでみて下さい。 “Small is the gate and narrow the road that leads to life, and only a few find it.” (Matthew 7: 14) 聖書の同じ個所には「誰も二人の主人に仕えることはできない。」”No one can serve two masters.” という言葉もでてきます。二人の主人の一方は神で、もう一方は金を指しているのですが・・・“You cannot serve both God and Money” (Matthew 6: 24)。

「山上の埀訓」とは関係ない個所ですが数字合わせみたいなのも・・・「人を許すのは7回まででしょうか?」との弟子の問いにキリストは「7回の77倍まで」と答えたのですが、この7と77の数字は旧約聖書・創世記カインとアベルの話の中にも出てきます。 “If Cain is avenged seven times, then Lamech seventy-seven times.”  (Genesis 4: 24)

キリストの許しの言葉とは逆に旧約聖書では仕返しが7倍、77倍で返ってくると警告の意味で使われています。

旧約聖書「創世記」ではノアの洪水・箱舟の話が有名ですが、ノアの父親ラメック(Lamech) は777才まで生きた(創世記5章31節) とされています。パチンコの777はフィーバー、フィーバー!(カンケイない!?)

「おとこ、ン十歳その気はあるが体がついてこん」という古いギャグがありましたが・・・まさか? “The spirit is willing, but the body is weak. “ (Matthew 26: 41, Mark 14: 38 Gethemane)

“How you doing?” “Goin’ stir-crazy, to be honest,” he drawled. “The mind is willing, but the flesh is weak. Ah can’t stand lyin’ around in bed all day.”
(Clive Cussler/Jack du Brul “The Jungle” 2011)
“The spirit indeed is willing, but the flesh is weake. ”(KJV)

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太陽磁場が「4重極構造」に…地球は一時的に寒くなる?

太陽の北極と南極にN極、赤道付近に二つのS極が形成される「4重極構造」が現れつつあることが、国立天文台などの研究チームの観測で分かった。現在は2極だが、地球が寒冷化した約300年前にも4重極構造だったとみられる。当時の太陽活動の特徴とも一致することから、温暖化の一時的な抑制につながる可能性があるという。研究チームは、太陽観測衛星「ひので」で太陽の極付近を観測。08年の北極はS極だったのが、11年にはS極に混じってN極が出現した。北極と南極は同時に反転するとされてきたが、南極はN極のままだった。このため、北極ではS極からN極に反転し、4重極構造に変化する過程にあると結論付けた。今年5月ごろには完全に反転するとみられるが、理由は分かっていない。過去の太陽の観測結果を調べたところ、黒点の増減周期や磁場構造が、地球が寒冷期だった17〜18世紀と酷似していた。常田佐久・同天文台教授(太陽物理学)は「反転の影響で、地球が寒冷化する可能性がある」と分析する。(毎日新聞 2012年4月20日)

現在の地球は約1万年前に前回氷期が終わり、次の氷期までの間氷期です。しかし氷河期そのものが終わったわけでなく、ほぼ10万年でくり返す氷期の一時休止による温暖期とされます。もっと長いスパンで見ると、氷河期は200万年前から続いているといわれ、また氷床の有無でいえば氷河時代は数千万年以上、億年スケールのサイクルです。1万年前に始まった温暖化はそれだけに貴重です。いつ氷期に戻るのかメカニズムは判っていませんが、温暖期にあっても短い小氷期 (little ice age) は過去1万年の間に何度も起こっています。そのひとつが記事に引用された300年前の小氷期です。それがMaunder Minimumと呼ばれる 1645年―1715年の太陽黒点極小期とほぼ一致していたため、太陽活動の変化と異常気象の関連が近年取り沙汰されるゆえんです。(後注参照) 太陽黒点 (sunspot) の11年周期が13年に伸びていることは数年前から指摘されていました。マウンダー極小期の直前にも同じ周期変化があったのでした。そして衛星「ひので」が観測した太陽の極転移 (polar shift) も300年前に起こっており、偶然が幾つも重なっています。中世と違い情報化時代の今日では磁気嵐でさえ厄介です。地球環境はデリケートなバランスに支えられているので、太陽の異変がもたらす影響についてもさらに詳しい情報が待たれます。

We live on the third planet from a medium-size sun. Our planet is five billion years old, and it has been changing constantly all during that time. ….. No one is entirely sure why, but ice now covers the planet every hundred thousand years, with smaller advances every twenty thousand or so. The last advance was twenty thousand years ago, so we’re due for the next one. (Michael Crichton “State of Fear” 2004)

中世の寒冷化は体感的にはごく僅かな変化だったといわれます。夏の季節が短くなり、冬は長くて雪や氷が多いといった程度だったといいます。しかし、それが数十年も続くと農作物の不足が広がり、疫病がふえたりで欧州全域にわたり人口が急減したのでした。その反動が、その後に起こった産業革命の波にも乗って急激な人口増につながり、20世紀の人口爆発にまで至ったのでしょうか?

(注)
太陽黒点(Sunspot) の観測記録はガリレオが望遠鏡を発明した翌1610年から残されています。黒点の極小期がのびると太陽系の磁気バリアーが弱まり、地球にとどく系外宇宙線の量が増加する。その宇宙線が核となってできる厚い雲は通常の雲と違って、雨になりにくくなかなか消えない。そのため長期間曇り空が続き次第に寒冷化が起こる。中世の小氷期やそれ以前の古代エジプトの崩壊、メソポタミア・ウル王朝の滅亡、さらにはゲルマン民族大移動やマヤ文明の崩壊なども小氷期の異常気象が重なっていたことを幾つかのTV科学番組(NHK, BBC)が伝えていました。
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クライブ・カスラー/Oregon Files シリーズ

ダーク・ピットのNUMAシリーズやカート・オースチンNUMA Files と違って2003年からはじまったOREGON Files ("Sacred Stone", "Golden Buddha", "Dark Watch", "Skeleton Coast") は「21世紀テロとの戦い」に特化したシリーズで構想的にはトム・クランシー "OP-CENTER" シリーズと同工異曲です。カスラーらしいのは道具立てとして特殊船「オレゴン号」を登場させたことでしょうか。

この特殊船は派手な双胴水中翼船(Twin-hull hydrofoil)とかでなく、ごく普通の単胴船(Monohull)ですが深いV字型の船底には高速運航用のTフォイルやフィンが装備されています。しかし時速40ノットを超える時はそれらを格納し競艇並みのスピードがでるという仕掛けです。さらに小型潜水艇(minisub)を2種類装備し、ヘリコプターをはじめスーパーコンピュータを含む最新機器を搭載しています。乗組員の休養設備は豪華なサウナ、プールなどあらゆるものが完備しており、さらに料理は超一流のシェフ (le Cordon Bleu chefs)をずらっと揃えて、といった設定です。それにもかかわらず外見は解体寸前のオンボロ船を装って敵地での官憲の目を欺く工夫をこらしており、イラストの豪華ヨットとはほど遠い姿です。

合衆国政府が政治的理由で正面から対処できないテロ対策を代行する、いわゆる Black Operationをビジネスにした会社 (the Corporation) です。その 総帥ホアン・カブリージョ (Juan Cabrillo) が活躍するシリーズですが、第3作目 "Dark Watch" の冒頭は北朝鮮からミサイルを買い付けるシリアの陰謀を阻止するものですが、その対価は直接経費プラス "ten million dollars, courtesy of Uncle Sam's black budget" !

With no end in sight on the war on terror, there was a never-ending string of contracts for a team like the one Cabrillo had assembled - black ops specialists without the constraint of the Geneva Convention or congressional oversight.
That wasn't to say the crew were a bunch of cutthroat pirates who took no prisoners. They were deeply conscientious about what they did but understood that the lines of conflict had blurred in the twenty-first century.

トム・クランシーの "OP-CENTER" がそうだったように、この Oregon Filesも登場人物全員が戦闘員ということもあってダーク・ピットなどにみられる個性的で人間的な魅力という点では劣ります。

(追記)
特殊船「オレゴン号」の総帥Juan Cabrillo にはカスラーの好きな「宝島」の海賊船長シルバー (Long John Silver) のイメージが隠されています。黒の眼帯 (black eyepatch) に松葉杖、肩にオウムこそいませんが、右脚は膝から下が金属製の義足 (prosthetic leg) です。しかし敵にさとられない敏しょうさと驚異的な戦闘力の持ち主で、彼の活躍には昔懐かしい英雄的な海賊 (pirate) の姿が仮託されています。

昔イギリスの有名な海賊には英国王の認可証 (Letter of Marque) が与えられていました。莫大な財宝を国王に献上した英雄・功労者で貴族に取り立てられる者もいます。(海賊に掠奪された側からいえばベラボーな話ですが、当時制海権を握っていたのは英国なので完全に勝者の論理です。) Juan Cabrillo はメキシコ系を思わせるラテン名ですが瞳はブルー、髪はプラチナ・ブロンド、貴族的な鼻の持ち主の30代前半の男というカスラー好みの風貌です。


話は変わりますが同じ米国作家Ted Bellの小説 "PIRATE" (2005)にでてくる主人公 Alexander Hawke は英国人で先祖は海賊貴族というので、彼のニックネームが"Pirate" というのですが、そのイメージは明らかにクライブ・カスラーのダーク・ピット、カート・オースチン、ホアン・カブリージョにかぶっています。

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宇宙人?

新石器時代(Neolithic 9,500BC-4,500BC)から約1000年の銅石器 (Copper-stone age)をはさんで青銅器時代(3,500BC-1,200BC)でしたから、現人類が金属を使うようになったのは十数万年続いた石器時代に較べると、わずか5,500年前からです。(注・石器時代を旧人にまで遡ると何倍も古いですが、現人類の出現は約15万年前。)

地球上生命が地下の金属資源を精錬加工し利用するのは人類(それも現代人)だけですが、人間が自然採集生活から定着農耕を始めたのが約1万年前。そして最初に銅を使うようになったのが5,500年ほど前です。銅、青銅、鉄、金銀から稀少金属まで、そのほとんどは目につかない地下深くの岩石や砂に混ざった鉱石なのに、危険を冒してわざわざ掘り探し採取するそもそものきっかけは何だったのでしょう?誰が?いつ?なぜ?

アタクシの「非」科学的で明快な独断によれば、これは人類がいつか宇宙へ出るためではないかと・・? 他の生物は地球以外に興味はないのですが、宇宙に出るには昆虫や甲殻類 (crustacean) 以上に強固な殻が必要です。で、その殻となる宇宙船を金属で作る。次に必要なのは宇宙空間へ飛び出すエネルギーですが、これは今のところ化石燃料です。しかし、これでは地球から永続的に脱出することはできません。人工衛星・宇宙ステーションからせいぜい月までの衛星範囲どまります。(観察用機器だけで惑星間飛行をするのが精一杯。)

人類が地球固有のエネルギー源から離れ太陽エネルギー、核融合エネルギー、あるいは重力制御といった宇宙レベルの推進力を手に入れない限り「惑星間移動」はできない理屈ですが、太陽系を超えた銀河航行、そこからさらに先にある「銀河間移動」(intergalactic space travel) となるとエネルギーだけでなく、もうひとつ時間のバリアーが立ちはだかります。

遠い将来、アインシュタインの予測(光速で時間は止まる)にそって光速移動が可能になったとしても、そのうえ空間を圧縮したワープ (warp) 航法と組み合わせてはじめて、時間と空間のバリアーを超える理屈ですが、そうしたSFの世界が仮りに実現したとして、そこで人類はいったい何を見るのでしょう?探し求めた宇宙人は人類自身だったてことに!? 「青い鳥」(“The Blue Bird” 1908) を宇宙人に読み替えると、メーテルリンク伯爵 (Count Maurice Maeterlinck) は偉大だった?

地球の誕生と同じく地球上生命の源泉も宇宙からきたと言われます。地球上の水は彗星が持って来たという説が有力ですし、彗星には有機物もあるといいます。 あるいはもっと別のルートで “packing itself in a viral form for intergalactic space travel” といったことも。分子生物学者の福岡伸一教授は地球上生命38億年の歴史で最初の20億年はバクテリア、それが十数億年かけて単細胞から多細胞へと進化し、多様化したのが現在の生命体だが分子レベルで見れば何も変わらないと話していました。また、先日シャトルで国際宇宙ステーション(ISS)の修理に携わった女性宇宙飛行士も次のように語っています。
「宇宙にでると、それまで眠っていた遺伝子が目覚めるような、細胞が懐かしがっているような、不思議な感覚でした。」(宇宙飛行士・山崎直子)

Panspermia Theory: The theory that a meteorite splashed into the primordial soup bringing the first seeds of microbial life to earth, where they percolated and sprang to life. If that’s true, then the underlying ancestry of earth’s life-forms and extra-terrestrial life-forms would be identical.  (Dan Brown “Deception Point”, 2001)

長い石器時代を通じて人類は大切な道具の材料である燧石 (flint)、黒曜石 (obsidian)、水晶(crystal / quarz) などを採取することで、しだいに岩石学 (Petrology) の知識を身につけてトンネルや竪穴を掘り地中深くの鉱石を採掘する技術を培ったと考えられます。それにしても使う道具は最初、棒や石器だけで小さな松明の灯りを頼りに掘るのは膨大な時間と労力がかかる命がけの仕事だったでしょう。それだけに暗い地中の奥深くに眠る金やルビー、サファイアなどを見つけた時の喜びも想像できます。そしてさらに強力な道具となる金属開発への執念・情熱も理解できます。

There is a mine for silver and a place where gold is refined.
Iron is taken from the earth, and copper is smelted from ore.
Man puts an end to the darkness; he searches the farthest recesses for ore in the blackest darkness.
Far from where people dwell, he cuts a shaft in places forgotten by the foot of man; far from men he dangles and sways.
The earth, from which food comes, is transformed below as by fire; sapphires come from its rocks, and its dust contains nuggets of gold.
(Old Testament, Job 28: 1-6)

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ダチョウ行動 (Ostrich Complex)
海外から見た日本の行動パターンのひとつとされる「ダチョウ行動」は追随・順応 “Wait and see (or watch)” の姿勢といえるかもしれませんが、実はダチョウは危険や困難に直面すると恐ろしさのあまり、砂に頭だけを突っ込んでしまうのだといわれます ・・こわいものからただ目をそむけ、ひたすら危機が通り過ぎるのを待つだけという、哀れなぶざまな恰好 - head-in-the-sand attitude - を指す言葉なんですね。

ミスを恐れひたすらリスク回避に走るのみで、局面打開に立ち向かう積極姿勢はおよそ感じられないというのですが、そもそも日本は歴史的に外国から侵略を受けたことがないから、真に重大な局面を直視する勇気がないとまで言う人もいます。ほんとにそうなのでしょうか?

昔、日本には武士道精神 (Warrior’s Spirit) があったといいます。己の信ずる道をゆき、失敗すればいさぎよく腹を切る。強い信念の裏にはどのような結果も甘受する諦観と潔さがあったのですが・・残念ながら明治維新以降はそうした勇気と責任感、いさぎよさといったものは日本人の心から消えていったのでした。

江戸時代、武士階級の官僚には藩主や将軍に対する責任が重く課されていたのですが、維新はそうした上部構造を解体したため責任をとる相手がいなくなり、官僚組織には強大な権限だけが残ったのでした。中央集権下で近代化を進めるため権力は巨大化する一方、責任をとる必要はないという奇妙な、それでいて理想的な官僚制度が実現したのでした。そこへもってきて軍部の台頭があって全体主義国家が急速に進み、国民は封建時代そのままで国家権力に従う義務だけが課されたのでした。

敗戦により軍部独裁・全体主義の時代は終わったものの、民主主義は名ばかりで現実は官主導により規制を張り巡らせた統制国家でした。つまり国民は自ら考え、行動し、責任をとるという民主主義の基本がないままに、国の指導に従うだけの思考停止。一方、国は責任を問われない官僚組織が主体ですから、内外を問わず国の方針や決定には責任の所在がないか、あったとしてもきわめて曖昧です。(『明治以来、国民への直接賠償責任を国が負ったことはない。』というのが官の世界の常識だそうですから。)

グローバル化の今日、みずから局面を動かす勇気・チャレンジ精神を発揮し、それと同時に責任の所在も明確にしない限り日本は国際社会で通用しない状態はいつまでも続くことになります。

(注)「ダチョウ行動」は動物学的には事実ではありません。帝政ローマ時代の元老プリニウス(AD23-79) はたいへんな知識人でしたが、彼が編纂した百科事典に書かれたことが後世そのまま伝わった俗説です。

She pointed to a rotunda woman escorted by her husband. “Oh, look. I have never seen Mrs. Burden in a huge crimson turban before. Perhaps we are meant to think of elephant. Her gardenias I approve as well, but I’m less sure about the ostrich feathers. It may incline people to bury their heads in the sand when she passes.”
(Jed Rubenfeld “The Interpretation of Murder” 2006)

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金とダイヤモンド

金 (Gold) は酸化変質しない永遠の輝きと埋蔵量の少ないことで、あらゆる文明を通じ希少価値が高く中世錬金術師 (alchemists) の夢だった人工合成は物理的に不可能な元素です。その生成メカニズムについてもくわしいことは判っていません。天文学者によれば太陽系誕生は非常に重い中性子星(neutron star) 二個が衝突してできたのかも知れない、そのため通常の星生成ではできない重い金属が太陽系に残ったのではないかという話(仮説)です。だとすると「金」は50億年前太陽系誕生に遡る大爆発の置き土産 (souvenir) という雄大なロマンです。

Where did the gold in your jewelry originate? No one is completely sure. The relative average abundance in our Solar System appears higher than can be made in the early universe, in stars, and even in typical supernova explosions. Some astronomers have recently suggested that neutron-rich heavy elements such as gold might be most easily made in rare neutron-rich explosions such as the collision of neutron stars. Pictured above is an artist's illustration depicting two neutron stars spiraling in toward each other, just before they collide. Since neutron star collisions are also suggested as the origin of short duration gamma-ray bursts, it is possible that you already own a souvenir from one of the most powerful explosions in the universe. (Astronomy Picture of the Day, Sept. 11, 2011)

They opened their treasures and presented him with gifts of gold and of incense and of myrrh.
(Matthew 2: 11)

ダイヤモンド (Diamond) となると話はまるで違ってきます。ダイヤモンドは巨大カルテルが生産・ 流通をコントロールし独占価格で市場を支配しているもので、金の持つ希少価値とは根本的に事情が違います。ダイヤモンドの埋蔵量は一般に考えられている以上に豊富ですし、また人工合成も可能です。工業用ダイヤモンドは炭素からいくらでも簡単に造られます。また、最近の天体観測によれば、銀河系のどこかに非常に硬度の高い惑星が見つかり、ことによるとダイヤモンドでできているのかも知れないと言われます。しかし、今のところ宇宙には「金」でできた星の可能性はありません。(金星? ち、ちがいます!)


Diamonds are not rare. They are not as common as semiprecious stones but they are not as scarce as you are led to believe. The price is kept artificially inflated because one company controls about ninety-five percent of the market. They control all the mines so they can set any price they wish. Every time a new diamond field is discovered they are there to buy it up and eliminate any chance of competition. It is a cartel so tight it makes OPEC look like amateurs. It is so controlling that several executives (of DeBeer) would be arrested for antitrust violations if they ever set foot in the United States.
(Clive Cussler “Skeleton Coast” 2006)


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